もうすぐ夏休みも近づいてきていますが、旅行やレジャー先へのドライブ途中で運転を代わったり、友人や親族の車を借りてドライブをしたり他人名義の車を運転する機会も多い季節だと思います。このように他人名義の車を運転する場合において、自動車保険(任意保険)の補償を受けるためにはどのようなことが必要になってくるのでしょうか?
他人の車を運転していても補償を受けられるケース
友人や職場の同僚が所有している車であっても、自分と同居している家族であっても、運転者が「補償範囲」から外れているのであれば任意保険の補償を受けることができません。また自分自身が自動車保険に加入しているも「他車運転危険特約」を付帯させていないと補償を受けられないので注意が必要です。ただし、以下の場合においては万が一事故を起こしたり追突されてケガを負っても補償を受けることができます。
保険 | 契約対象 | 契約対象外 | 等級ダウン |
---|---|---|---|
運転者限定なし (他人の任意保険) |
自家用車、他人所有の車など | なし | 他人の等級 |
他車運転特約 | 自家用車、他人所有の車など | 記名被保険者、配偶者、同居親族が所有していたり使用している車 | 自身の等級 |
1日自動車保険 | 自家用車、他人所有の車など | 自分自身や配偶者などが所有している車、日常的または定期的に使用している車 | なし |
車の所有者が任意保険をかけている場合
まず借りた車に対して所有者(他人)が任意保険をかけているケースを考えてみましょう。自動車保険では保険料を節約するために補償される運転者の範囲を限定することができるようになっています。運転する人の属性によって範囲を決めるのが「運転者限定」と呼ばれるもので、大きく分けて「記名被保険者本人限定」「家族限定」「配偶者限定」「限定なし」の4つがあります。また運転する人の年齢によって範囲を決めるのが「年齢条件」と呼ばれるもので、「35歳以上」「30歳以上」「26歳以上」「21歳以上」「年齢制限なし」などに分類されています。
運転者限定を「限定なし」で設定しているのであれば、他人が契約対象の車を運転して事故を起こしても任意保険の補償を受けることができます。ただし車を借りている運転者が年齢条件も満たしている必要があります。このケースでは他人の任意保険を使わせてもらっている形となりますので、もし事故を起こして保険金を請求すると、自分自身ではなく他人(契約者)の等級がダウンし事故有等級が適用されることになります。そうすると車を貸してくれた人に対して迷惑をかけてしまうので注意が必要です。
他車運転特約を付帯させている場合
自分自身が自動車保険に加入している場合は、「他車運転特約」を付帯させることによって他人が所有している車を運転していても任意保険の補償を受けることができます。保険料は年間数千円アップしますが、他人が所有している車を借りて運転することがしばしばあり、万が一事故を起こしても貸してくれた人に迷惑をかけたくないという場合におすすめの特約です。
ただし、この特約は記名被保険者が所有している別の車や配偶者、同居親族が所有している車には適用されないので注意が必要です。車両保険も補償されますが、自分自身が加入している任意保険の車両保険金額が限度額となります。そのため高級車を借りて事故を起こした場合、修理費用や全損時の車両取得費用に関して差額を自腹で支払う必要があるので注意しておきましょう。
1日(1day)自動車保険
3つ目の方法として「1日自動車保険」というものもあります。1日500円から加入できる短期間の自動車保険で、スマホやコンビニから簡単に加入申込みができるのが特徴です。対人対物補償が無制限、搭乗者傷害保険1,000万円、対物超過補償50万円などの補償内容となっており、各社のロードサービスも無料で利用することができるので旅行やレジャーで他人の車を借りてドライブされる方にもおすすめです。こちらの保険も自分自身や配偶者が所有している車は対象外となっており、また定期的に使用している車(週に1回借りるなど)にもかけることはできません。保険料が上がってしまいますが、車両保険(限度額300万円)を付帯させることもできます。1日自動車保険で事故を起こして保険金を請求しても、他人や自分の等級に影響を与えることがないというのもメリットの1つです。
他人名義の車で自動車保険に加入する場合と注意点
友達から車を譲ってもらって名義が友達のままでも自動車保険に加入することができるのでしょうか?購入した金額の領収書や売買契約書などがあり、実質的に所有者が自分自身になっていると判断されれば車検証の名義が他人のままでも自動車保険に加入することができます。ただし、以下の場合は注意が必要です。
- 対象車両で任意保険の契約中における事故歴
- ローン残高(割合)
譲ってもらう前に友人がたくさん事故を起こして保険金を請求し5等級以下になっている場合、名義変更を行っていないと低い等級や事故有等級を引き継がなければ自動車保険に加入することができなくなることがあります。というのも、たくさん事故を起こすと損害保険会社が引受不可という判断を下して、契約を断ることがあります。そこでいったん他人を記名被保険者にして運転者限定なしに設定し自動車保険に加入しようとする人が出てきます。このようなことを防ぐためにも、保険会社は車の所有者と記名被保険者の関係性については必ず確認することにしています。他人名義の車で自動車保険に加入する場合も同様に関係性が確認されますので、等級が低い人の名義のままになっていると高い保険料を支払わなければ自動車保険に加入できなくなることもあります。
また譲ってもらった車のローン残高についても事前に確認しておく必要があります。ローン残高が70%以上を超えているようであれば加入を断られることがあります。こちらは損害保険会社によって対応が異なるので、一括見積もりサービスなどを利用する際に備考欄にローン残高を記載しておけば引受可能か判断してくれます。加入申込みまでにローン残債の支払い義務者(負債者)や車購入に関する書類などの提出を求められることがあるので、不明な点などがあれば各保険会社の担当者に一度問い合わせされることをおすすめします。
参考リンク
・三井ダイレクト損保「車の名義が他人または家族でも自動車保険に加入できましたか?」
・セブンイレブンで入る保険「1DAY自動車保険」