自動車保険の基礎知識

チャイルドシートの装着と自動車保険による補償

年内に家族が増える予定があり軽自動車(ダイハツのタント)を購入し自動車保険に加入しました。また病院から自宅までの移動に備えてチャイルドシートを購入しました。一定の条件を除いてチャイルドシートの装着は法律でも義務付けられており、もし事故に遭遇してしまうと赤ちゃんだけではなく同乗者もとても危険です。チャイルドシートの未装着による危険性については、産業技術総合研究所が制作した下の動画をごらんください(Youtube)。

動画では後部座席にいる子どもが急ブレーキによってフロントガラスを突き破り車外にまで飛び出しています。たとえ子どもが通常のシートベルトを装着していたとしてもサイズが合わないので、事故に遭った場合にはシートベルトから身体が外れてしまい車の中でぶつかったり、車外に放り出されてしまいとても危険です。そのため6歳未満の子どもが車に乗る場合にはチャイルドシートの装着が法律で義務付けられており、違反すると罰金はありませんが1点の違反点数となります。ただし以下のような場合においてはチャイルドシートを装着していなくても違反とはなりません。

  • ・構造上、チャイルドシートを固定できない車
  • ・座席の数以上の人を乗車させるためにスペースがない場合
  • ・ケガをしているなどの理由で健康上に影響が出る場合
  • ・運転者以外の人が授乳したりおむつ交換など日常生活上の世話をしている場合
  • ・タクシー、バスなどの旅客車に乗せる場合
  • ・応急救護のために医療機関などに搬送する場合
  • ・十分にシートベルトを着けられる身長(140cm以上)がある場合

以上のような場合はチャイルドシートをつけなくても違反とはなりませんが、フロントシートに装着させたり大きさが合わないタイプを装着させることは危険です。またJAFと警察庁が行った調査によると、チャイルドシートを正しくつけられていないケース(ミスユース)が4割にも上り、適切な装着ができていないと事故で死亡したりや重症になる確率も大きく上がります。

また車からチャイルドシートの脱着した後に、再び装着するのを面倒に感じて子どもをそのまま乗車させてしまうケースも少なくありません。このような流れを受けて、チャイルドシートを簡単に装着できる「ISOFIX(アイソフィックス)」が2006年から日本でも導入され、2012年7月以降に販売される車にはISOFIXへの対応が義務付けられました。ISOFIXに対応したチャイルドシートを購入する必要がありますが、シートベルトで固定させるタイプに比べると専用金具に取り付けるだけでより簡単にまた適切な固定ができるというメリットがあります。これから車を購入する予定がある方や小さなお子さんがいる方は、車や商品がISOFIXに対応しているかどうかを購入前によく確認されることをおすすめします。

チャイルドシートに対する自動車保険の補償

損害保険会社によってはチャイルドシートを車両の一部とみなし、車両保険の対象としているところもあります(おとなの自動車保険など)。事故で壊れてしまったり盗難されてしまった場合でも補償の対象としているので、まずは契約している損保会社に連絡するようにしましょう。また「チャイルドシート重度後遺障害追加保険金」のような搭乗者傷害保険の保険金に上乗せして支払われる損害保険会社もあります(SBI損保など)。

会員優待価格でチャイルドシートやベビーアイテムを購入したりレンタルすることができる損害保険会社もあるので(三井ダイレクト損保、ソニー損保など)、小さなお子さんがいる方は自動車保険を契約される際に確認しておきましょう。

適切に装着された赤ちゃん

子どもをチャイルドシートに乗せておらず事故で死亡したりケガを負った場合、過失割合が増えてしまう可能性がある点にも気をつけなければいけません。過去の判例ではチャイルドシートを装着する必要がない例外の場合でも過失が認められたケースがあります。子どもの安全を守るためにも、万が一の事故に遭った場合に備えるためにも、しっかりとチャイルドシートを装着させることが大切です。

参考リンク
・SBI損保「チャイルドシート重度後遺障害追加保険金
・交通事故BLOG よつば総合法律事務所「子どもをチャイルドシートに乗せないまま,交通事故に遭ってしまったらどうなりますか?

秋の行楽シーズンは事故に注意

10月に入ると気温も落ち着きお出かけに適した気候となるため、秋は旅行やレジャーなどの行楽に車を運転する機会が増える季節となります。しかしながら秋は梅雨の季節と同様に交通事故の件数が多い時期なので注意しなくてはいけません。平成26年の月別事故件数のデータでも、10月や11月は全国で月間5万件近くの交通事故が起こっています。

月別事故件数のグラフ

なぜ秋になると交通事故が増えるのでしょうか?まず考えられる理由の1つとして「日没の時間が早まる」という点が挙げられます。東京の9月1日の日の入り時刻は18時9分ですが、10月1日では17時26分、11月1日では16時46分と早い時間でも周りが暗くなり始めます。日が暮れて暗くなると歩行者を発見しづらくなる上に、夕方の帰宅ラッシュで道路に他の車だけではなく歩行者や自転車も多くなることから運転者の注意が散漫してしまうことも事故増加の原因だと考えられています。

  • 秋に交通事故が増える原因
  • ・夕暮れ、日没の時間が早くなる
  • ・紅葉などへのわき見運転の増加
  • ・運転の疲労による注意力、判断力の低下
  • ・駐停車中による歩行者や隣車への接触

また秋の景色を楽しむためにレジャーやドライブに出かけると、運転しながらでもついついきれいな紅葉や秋空を眺めてしまいがちです。しかし、わき見運転は「前方不注意」を引き起こして交通事故の大きな要因となるほか、発見が遅れてブレーキをかけるのが間に合わず死亡事故につながるなど大きな事故の原因となっています。きれいな景色を眺める場合は車を安全な場所にいったん停車するなどをして、運転に支障のないように気をつけることが大切です。

秋の行楽中のドライブ

遠方へのドライブで長時間の運転になると注意力や判断力が低下して事故を起こす危険性も高まります。同乗者の中に運転できる方がいれば交代して車を運転するなど疲労を軽減したり、他に運転する方がいなければサービスエリアで休憩を行うなど積極的に身体を休めるようにしましょう。ただし補償範囲を「限定なし」に設定していたり、「他社運転危険特約」を付帯させていないと他の人が車を運転しても補償が受けられないので注意しておきましょう。

駐車場を利用する場合には小さな子どもの動きに注意する必要があります。行楽シーズンはレジャー先や商業施設、サービスエリアなどに車で出かける家族も多く、駐車場で歩行する小さな子どもも増えます。親の手から離れて急に走り出す子どもや車の影に隠れてしゃがんでいる子どももおり、バックカメラも活用し細心の注意を払って駐車や発車させる事が事故防止のために大切です。

秋の交通事故を減らすためには、まず早めにヘッドライトを点灯させるように心がけましょう。光によって歩行者や自転車を発見しやすくなるだけではなく、向こうからもこちらの存在に気付いてもらいやすくなります。見通しが悪い交差点ではスピードを落として、パッシングやクラクションを鳴らすことで車の存在を周りに知らせることも有効な手段です。

レジャー先での任意保険による補償

もしドライブ中やレジャー先で以下のような事故やトラブルに遭遇した場合、自動車保険ではどのような補償を受けることができるのでしょうか。駐車場では車同士の出会いがしらの事故や駐車時に隣の車の接触してしまう事故もよく起こります。このような事故では相手方の車に対する対物賠償保険や自分の車の修理には車両保険が使えます。また事故によってケガ人が出た場合は対人賠償保険、人身傷害保険によって入院や手術代などが補償されます。またロードサービスによっては代車やタクシー代などの移動にかかる費用を負担してくれるものもあります。

事故 対応保険、特約
駐車場における車同士の接触事故 対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険、車両保険、ロードサービス
レジャー先でのケガ 個人賠償責任特約、ファミリー傷害特約
ガス欠、キー閉じ込め、バッテリー上がり、脱輪など ロードサービス

レジャー施設で家族がケガを負った場合はファミリー傷害特約をつけておくと治療費などが補償されます。また他人にケガを負わせてしまった場合でも、個人賠償責任特約を付帯させておけば補償を受けることができます。例えばサイクリング中に子どもにぶつかり骨折をさせてしまったような場合でも、相手方に対する治療費や慰謝料などもこの特約ですべてカバーすることができます。

そして出発前に必ず確認しておきたいのが「ロードサービス」の補償内容です。ロードサービスはキー閉じ込めやバッテリー上がり、ガス欠といった車のトラブルを解決するために専門スタッフが近くのサービス拠点から現場までかけつけてくれるものです。任意保険に付帯されているほとんどのロードサービスでは一定の範囲までであれば無料でサービスを受けることができますが、ガソリン補給は年間1回10リットルまでのように使用制限を設けているところもあります。契約更新から今までの使用回数やその他のサービス内容についてお出かけ前に一度確認されることをおすすめします。

参考リンク
・DRIVE & LOVE「秋の日はつるべ落とし 夕暮れ時の運転にご注意

飲酒運転や煽り運転での補償適用について

最近ニュースで騒がせているのが女性タレントによる飲酒ひき逃げ事故です。飲酒運転を行った上に信号無視で歩行者と衝突、救護活動を行ったり警察に連絡することなくその場から立ち去り、その後自ら出頭するという形で逮捕されました。事故の一部始終がドライブレコーダーでも記録されており、事故対応の悪質性からも話題になっています。

飲酒運転する人

また2017年6月には東名高速では煽り運転を受けたドライバーが追越車線上で停車させられ、後ろからきた大型トラックに追突されたことで夫婦が亡くなるという事件もありました。このような飲酒運転や煽り運転といった悪質な運転によって引き起こされた事故でも、運転していた人は自動車保険によって補償してもらえるのでしょうか?

補償される保険 補償されない保険
自賠責保険
対人賠償保険
対物賠償保険
人身傷害保険
搭乗者傷害保険
自損事故保険
車両保険

飲酒運転や煽り運転によって引き起こされた事故では、基本的に自動車保険の補償を受けることができません。保険会社の約款でも免責事項として定められており、運転者による故意や重大な過失(飲酒運転や煽り運転、無免許など)がある場合は補償の適用外となります。

ただし「被害者救済」という観点から一部の保険は適用されて、加害者であるドライバーではなく被害者に対して保険金が支払われることになります。保険が適用されるのは「自賠責保険」「対人賠償保険」「対物賠償保険」で、事故の相手方が飲酒運転だった場合でも相手方が加入している保険会社から保険金を受け取ることが可能です。

飲酒運転や煽り運転で事故を起こし自分自身がケガを負った場合、「搭乗者傷害保険」や「人身傷害保険」は適用されず手術や入院にかかる費用は実費で負担しなければいけません。保険対象の車に別の人が乗っている場合では保険適用されることもありますが、保険会社によって対応が異なるので注意が必要です。また同様の事故で車が壊れてしまった場合でも「車両保険」を使うことができないので、高級車や新車を乗る際には特に気をつける必要があります。

罰則と悪質な運転を防ぐポイント

  • 酒酔い運転
  • ・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • ・違反点数35点、免許取り消し、欠格期間3年
  • 酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg/ℓ以上)
  • ・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • ・違反点数25点、免許取り消し、欠格期間2年
  • 酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.15mg~0.25mg/ℓ未満)
  • ・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • ・違反点数13点、免許停止期間90日
  • 煽り運転(高速道路)
  • ・3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • ・違反点数2点
  • 煽り運転(一般道路)
  • ・5万円以下の罰金
  • ・違反点数1点

飲酒運転や煽り運転を行うこと自体は道路交通法違反となり、罰金や免許停止の処分を受けるだけではなく場合によっては懲役刑を受けることもあります。また東名高速での事故を受けて煽り運転に関しては2018年1月17日より累積点数に関わらず最長で180日間の免許停止処分ができるように罰則が強化されました。上述したように自動車保険の補償を受けられないばかりだけではなく、車の運転ができなくなることにもつながるので飲酒運転や煽り運転をしないように日ごろから心がけることが大切です。

私が日ごろから実践している予防方法は、「飲酒運転によって失うものを想像してみる」というものです。車が運転できなくなることによって週末のドライブができなくなる、家族を送迎したり買い物に行けなくなる、社会的な信用を失う、といったイメージを「お酒を飲む前」にしっかりと行っておくことがポイントです。友人の一人はお酒を飲む前に車やバイクのカギを家族に預けておくのも有効な予防策だと話していました。

また日ごろから安全運転を心がけることで煽り運転は十分に防ぐことが可能だと感じています。ストレスを感じている心理状態では運転が荒くなってしまう傾向にあるので、サービスエリアやカフェで一休みするなどしてから運転されることをおすすめします。

参考リンク
・Allabout「飲酒運転で自動車保険は使えるの?
・政府広報オンライン「飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」みんなで守ろう 3つの約束

自動車保険見積もり時に役立つ用語集

9月末で自動車保険の更新をされる方やダイレクト型に切り替えて初めて自ら補償内容を選択される方も多いと思います。そこで見積もり依頼をする際に理解しておきたい用語について解説します。

初心者の方でも安心

項目 用語 概要
契約、運転者 記名被保険者 契約車を主に運転される方で、契約車を自由に使用できる正当な権利を持っている方、また等級や保険料に影響
契約者 損害保険会社と契約を結ぶ方で、保険料の支払い義務を負う
所有者 車検証に記載されている契約車の所有者、車両保険金を受け取る

まず、記名被保険者、契約者、所有者との関係性ですが、記名被保険者は任意保険の契約対象となっている車を主に運転する人のことを言います。そのため記名被保険者の年齢や運転する地域、免許の種類(ゴールド免許など)によって保険料が変わる重要な要素です。契約者とは損保会社と任意保険の契約を結ぶ人のことで、未成年が自動車保険に加入する場合に親が契約者となることで契約を結ぶことができます。所有者は車検証に記載されている氏名の方で、車両保険に関わる保険金を受け取る権利を持っています。これらの設定は重要な告知事項となっているため、保険期間中に変更された場合は速やかに保険会社に連絡しましょう。

これらの設定をうまく行うことで保険料を抑えることも可能です。例えば同居している18歳の子どもと40歳の親が同じ車を共有して運転する場合、18歳の子どもを記名被保険者とすると年齢が原因で保険料が大幅にアップしてしまうため、親を記名被保険者として子どもを補償範囲に含めると保険料を抑えることができます。ただし、親が保険期間中に事故を起こして事故有等級が適用される場合はこどもを被保険者とした方が保険料が安くなるケースもあるので、一括見積もりサービスなどを利用して予め確認しておきましょう。

項目 用語 概要
使用目的、走行距離 日常、レジャー 買い物やお出かけのみで使用する(3,000~10,000km)
通勤、通学 週5日または月15日以上、通勤や通学で使用する(10,000~15,000km)
業務 週5日または月15日以上、仕事で使用する

次に使用目的ですが、「日常、レジャー」「通勤、通学」「業務」の3つから選択する必要があります。日常・レジャーは買い物や週末のドライブのみで車を使用するケースで選択することができ、事故率が最も低いと考えらえるため保険料も安くなります。通学・通勤は年間を通じて週に5日以上、または月に15日以上で契約車を通勤や通学で利用するケースで選ぶことができます。最後に業務ですが、年間を通じて週5日または月15日以上で仕事として利用する場合で、最も事故率が高いと想定されるため保険料も高くなります。こちらも重要な告知事項となっているため、本当は仕事として使用しているのに偽って日常・レジャーで申告すると補償を受けられないこともあるので注意が必要です。

また保険会社によっては走行距離割引を設けているところもあり、年間走行距離を選択しないと見積もり価格が表示されないところもあります。日常生活で近所のスーパーに買い物に行ったり病院に通院する程度では5,000km未満でも問題ありません。日常の買い物に加えて週末にドライブ(運転時間2時間以内)を行う方では5,000~10,000kmが走行距離の目安となります。週末にロングドライブ(運転時間2時間以上)を行ったりお盆や年末年始に車で帰省される方は10,000~15,000kmが走行距離設定となります。

補償範囲を決めるポイント

項目 用語 概要 割引率
補償範囲 本人限定 記名被保険者のみが補償対象となる およそ7%
配偶者限定 記名被保険者とその配偶者が補償対象となる/td>

およそ6%
家族限定 記名被保険者とその配偶者、および同居の親族、別居の未婚の子 およそ1%
限定なし 運転者に関わらず補償が適用される 割引なし

運転者の補償範囲の設定は車をどのように使用するかでよく考える必要があります。例えば別居の未婚の子がたまに帰省して運転するのであれば家族限定で問題ありませんし、帰省するのが数年に一度というのであればコンビニなどで手軽に加入できる一日自動車保険の方が保険料が安く済みます。ただ、家族限定は今後については廃止を検討している損保会社も多く(限定なしとほとんど保険料の差異が無いため)、現在の保険で家族限定とされている方は限定なしを選択されることをおすすめします。

本人限定と配偶者限定は6~7%の割引が受けられるため、車を運転するケースをよく考えた上で積極的に活用したいところです。夫、妻がそれぞれ自分用の車を所有しており、普段はそれぞれの車を運転している場合でも、事故や車検などでどちらか一方の車が運転できなくなることもよくあるケースです。本人限定と配偶者限定では保険料に大きな差はありませんので、夫婦そろって免許証を保有されているのであれば配偶者限定を選択されることをおすすめします。

参考リンク
・三井ダイレクト損保「用語集

保険会社を乗り換える際の注意点

9月は自動車保険の更新を迎える方も多く、現在加入している任意保険から他の損保会社への乗り換えを検討されている方もたくさんいらっしゃると思います。また何らかの理由で途中解約を行って別の自動車保険への加入を検討されている方もいらっしゃるので、他社へ乗り換える際の注意点や確認事項、手続き方法などについてまとめてみたいと思います。

まず満期更新の際に他社へ乗り換える場合は、補償の「空白期間」と「等級の引継ぎ」について気を付ける必要があります。例えば10月1日が満期日に設定されている場合、ほとんどの保険会社では満期日の16時00分に補償が終了することになります。一方で補償開始日は午前0時からとなっているため、もし10月2日から新しい保険会社の補償開始日と設定されていれば10月1日の16時00分から23時59分までは補償から外れる「空白期間」となってしまいます。このような空白期間を作らないために前の自動車保険の満期日と、新しい自動車保険の補償開始日を同じ日に設定しておくことが大切です。

また他社への等級引継ぎは「前の保険の解約日、または満期日より7日以内に新しい保険に加入すること」が条件となっているため、等級がリセットされないためにはできるだけ早く新しい自動車保険への加入手続きをしておきましょう。一部の自動車共済では等級引継ぎに対応していないところ(自治労自動車共済など)もあるので、事前によく確認しておくことが大切です。

項目 更新 中途解約
解約返戻金 なし あり
事故なしの場合 1等級アップ 等級変わらず
事故ありの場合 等級変わらず 1等級または3等級ダウン

補償期間中に中途解約をして他社に乗り換える場合、保険料を年間で一括払いしているのであれば「解約返戻金」を受け取れる可能性があります。保険会社ごとに「短期率(返還率)」が設定されており、残りの保険期間に応じて保険料が契約者へと返還されます。例えば補償開始から7ヶ月後に中途解約をした場合、年間保険料の25%が解約返戻金として返還されます。

補償開始から 短期率(返還率) 補償開始から 短期率(返還率)
7日 90% 6ヶ月 30%
15日 85% 7ヶ月 25%
1ヶ月 75% 8ヶ月 20%
2ヶ月 65% 9ヶ月 15%
3ヶ月 55% 10ヶ月 10%
4ヶ月 45% 11ヶ月 5%
5ヶ月 35% 12ヶ月 0%

また中途解約の場合には等級の取り扱い方も異なるので注意が必要です。保険期間中に事故を起こさず次の更新で等級がアップする予定だった場合、中途解約で新しい保険会社に乗り換えても等級は上がらず次回の更新まで待たなければいけません。反対に保険期間中に事故を起こして等級がダウンする予定だった場合は、中途解約で新しい保険会社で契約を行うとすぐにダウン等級(保険金の種類に応じて1等級または3等級)が適用されます。また事故を起こしたことを隠して他社に乗り換えると告知義務違反となり、補償が受けられなくなったり契約を解除されることもあるので注意しておきましょう。

他社乗り換えのプロセスと手続き方法

自動車保険を他の損害保険会社に乗り換える際は、まず現在の補償内容に過不足がないか、どのような割引が適用されているか確認しておきましょう。損保会社によっては「長期契約割引」が適用されているものもあるので、他社に乗り換えると継続割引が途切れてしまいます。

また代理店からダイレクト型に乗り換えると「ネット割引1万円」といった保険料の割引も受けられますが、補償内容を自分で確認して申し込む必要がありますし、ロードサービスもこれまでのものと大きく変わってしまうので注意が必要です。そのため満期の1ヶ月ほど前から新しい自動車保険の候補をいくつか決めておき、よく比較検討することが大切です。

  • 1.補償内容、保険料、割引などの比較検討(満期の1ヶ月ほど前から)
  • 2.新しく加入する保険会社に加入を申込む
  • 3.現在加入している保険会社に更新しないことを伝える
  • 4.満期日を持って補償が新しい保険会社に切り替わる

乗り換え先の保険会社が決まれば契約の申込みをまず行い、保険契約ができるかどうか(引受可能)の回答を待つことになります。問題が無ければ電話やネットから手続きを行い、現在加入している自動車保険の満期日を補償開始日として契約を行いましょう。自動更新特約を付帯させていると自動的に保険契約が更新されてしまうので、現在加入している損保会社に次回の満期日に更新しない旨を伝えるようにしておきましょう。

その後、新しい自動車保険の保険料の支払いなどの手続きを行います。1週間ほどで登録した自宅まで加入手続き完了のハガキや封筒が届きますので、等級の引継ぎなども踏まえて契約内容を確認することができます。また新規加入で応募できるキャンペーンも数多くあるので、該当される方は締切日までに手続きを済ませることをおすすめします。

参考リンク
・ソニー損保「短期料率(短期率)

結婚した場合の自動車保険の見直し

管理人の友人が最近結婚して新車の購入と自動車保険への加入を検討しています。友人は実家暮らしで家族と車を共有して使っておりブルー免許、奥さんも実家暮らしでペーパードライバーのゴールド免許で、これから新居を探して近いうちの引っ越しを予定しています。こういった場合にお得な加入方法は無いの?と質問されたので、結婚する際の自動車保険へのお得な加入方法や注意点についてまとめて紹介していきたいと思います。

結婚したカップル

  • 新郎(友人) … 38歳、実家暮らし、ブルー免許、親と車を共有、父親が契約者と記名被保険者、家族限定特約、16等級
  • 新婦 … 29歳、実家暮らし、ゴールド免許

現在新居を探している最中でお互いにまだ実家暮らしとのことだったので、「家族間の等級引継ぎ」をしてみてはと話をさせてもらいました。家族間の等級引継ぎは同居していることが条件となっているため、新居に引っ越してしまうと等級の引継ぎができなくなります。ちなみにもし新郎の家に新婦が引っ越してきて同居するのであれば、「同居家族(6親等内の血族、3親等内の姻族)」の条件を満たすので新婦が新郎の親から等級を引き継ぐことも可能です。

また配偶者への等級引継ぎも可能ですので、夫が自動車保険に加入しているのであれば妻へ等級を引き継がさせることができます。今回の場合では、新婦が新郎の実家に同居することはないとのことでしたので、新居に引っ越す前に新郎が親からの等級を引き継ぎ新郎の親は新しく自動車保険に加入することとしました。その際に子どもへの補償を外し補償範囲を限定することで保険料を節約することができますが、子どもが帰省した際に実家の車を運転しても補償が受けられなくなるので注意が必要です。

  • 結婚前(引越し前)のチェックポイント
  • ・親から等級の引き継ぎ(同居しているうちに)
  • 結婚後(引越し後)のチェックポイント
  • ・住所、苗字の変更
  • ・運転者限定の見直し
  • 保険加入前のチェックポイント
  • ・どちらを記名被保険者とするか
  • ・配偶者限定とするか限定なしとするか
  • ・特約の選定(個人賠償責任保険など)

新居に引っ越した後は自動車保険の契約時に記載した住所の変更届を損害保険会社に連絡する必要があります。住所を変更しないままで放置しておくといざという時も補償を受けられなくなり、任意保険へ未加入の状態と同じになるので注意が必要です。入籍を済ませて新婦(または新郎)の苗字が変更となった場合、契約者や記名被保険者の氏名の変更届も同じく必要となります。

また今回の場合のように新婦がゴールド免許であれば、奥さんを記名被保険者としてゴールド免許割引の適用を受けることができます。新しく購入する車は夫婦だけが運転するのであれば配偶者限定をつけることで保険料が安くなりますし、日常生活におけるほかの補償(個人賠償責任特約、ファミリーバイク特約など)についても他の保険と重複していたり補償漏れがないかしっかりと点検しておくことが大切です。

もし離婚した場合は…

あまり考えたくないことではありますが、万が一離婚した場合にはどのような手続きが必要となるのでしょうか。車の所有者が夫で引き続き夫が運転する場合では、記名被保険者を夫に変更するように損害保険会社に連絡する必要があります。また妻が運転する場合であっても住所や氏名の変更を保険会社に連絡し、車を財産分与で譲ってもらったのであれば所有者の名義も変更する必要があります。

  • ・住所、苗字の変更
  • ・配偶者限定の見直し
  • ・財産分与(車所有者の名義、等級の引継ぎなど)

もし自動車と自動車保険をセットで妻に譲るということになれば、結婚しているうちで無ければ等級を引き継ぐことはできません。いったん離婚してしまったり子どもが別の住居で生活をスタートしてしまうと妻や子供に等級を引き継がせることができなくなるので、離婚することが決まったら離婚届を出す前に等級も含めて財産分与の協議を行っておくことが大切です。

参考リンク
・SORAHO「結婚時の自動車保険の切り替えや見直しについて

テレマティクス保険の特徴と各社比較

テレマティクス保険とはドライブレコーダーや専用のスマホアプリなどを用いて、車の走行距離や運転者の安全運転レベルの分析や測定を行い自動車保険の保険料に反映させるというものです。測定装置の精度が向上したことで日本にも導入されるようになり、2020年には任意保険の加入者のおよそ3割がテレマティクス保険を利用すると予測されています。

安全運転を行う女性

テレマティクスとはTelecommunication(通信)とInformatics(情報工学)を組み合わせたもので、大きく分けて「走行距離連動型(PAYD)」と「運転行動連動型(PHYD)」の2種類があります。走行距離連動型はGPSなどを利用して車の年間走行距離を測定し、走った分=リスクの大きさに応じて保険料に反映させています。一方で運転行動連動型は比較的新しいタイプのテレマティクス保険で、保険会社から支給される専用装置(ドライブレコーダー、ブラックボックスなど)を対象車両に取り付けて安全運転のレベルを測定します。

  • 走行距離連動型(PAYD) … 走行距離に応じて保険料が変わる
  • 運転行動連動型(PHYD) … 運転者の安全運転スコアに応じて保険料が変わる

特に注目を集めているのは「運転行動連動型」で、安全運転を行う被保険者が最大20%の保険料割引を受けられるようになっています。また政府もテレマティクス保険加入者の運転方法を分析し、事故率低下に寄与しているか統計分析を行うこととしています。テレマティクスの装置を用いて保険会社が集める情報は以下のようになっており、それぞれの会社ごとに計算方法や事故率に対する考え方が異なるので同じデータであっても保険料への影響は異なります。

運転情報 運転行動情報
・運転日時、運転時間、頻度
・運転距離
・運転場所
・最高速度、平均速度
・アクセル、ブレーキ(頻度、強さ)
・車線変更(速度、頻度)
・コーナリング
・エンジン回転数

現在日本でテレマティクス保険を導入しているのは、「損保ジャパン日本興亜」「ソニー損保」「セゾン自動車火災」「三井住友海上」「東京海上日動」「あいおいニッセイ同和損保」「チューリッヒ」です。各社の記録方法や対応している連動タイプ、最大割引率は以下のようになっています。

保険会社 名称、記録装置 対応タイプ 最大割引率、利用料
損保ジャパン日本興亜 ポータルスマイリングロード
(カーナビアプリ)
走行距離
運転行動
-%
20%
ソニー損保 やさしい運転キャッシュバック
(ドライブカウンタ)
走行距離
運転行動
-%
20%
セゾン自動車火災 おとなの自動車保険
(専用車載器+スマホアプリ)
事故対応 無料
三井住友海上 GK 見守るクルマの保険
(専用車載器+スマホアプリ)
運転行動、事故対応 月額300円
あいおいニッセイ
同和損保
タフ・見守るクルマの保険
(専用車載器+スマホアプリ)
運転行動、事故対応 月額300円
東京海上日動 ドライブエージェントパーソナル
(ドライブレコーダー)
運転行動、事故対応 月額650円
チューリッヒ Z-Assist
(ドライブレコーダー)
運転行動、事故対応

テレマティクス保険を提供している損保会社の中でも運転行動連動型を利用して保険料の割引を行っているのは「損保ジャパン日本興亜」と「ソニー損保」の2社のみで、安全運転スコアが最高レベルを獲得すると保険料が最大20%となるので、安全運転に自信がある方は加入を検討してみましょう。

残りの会社はドライブレコーダーやスマホアプリを使って安全運転スコアを測定したり、万が一の事故の際にGPSを使って迅速に事故対応ができるようになっています。ただし、事故対応のサービスを向上させるためのテレマティクス保険は月額保険料が300~650円上がってしまうところもあるので注意が必要です。各社が提供している無料利用できるロードサービスの内容を確認した上で、必要なサービスか検討することが大切です。

テレマティクス保険で節約するポイント

テレマティクス保険の割引制度をうまく活用すれば保険料を大きく節約することができます。反対にペーパードライバーで運転技術が未熟な運転手にとっては、ゴールド免許割引が適用されたとしてもこれまで以上に保険料が割引されない可能性もあります。各保険会社によって安全運転スコアの採点方法や割引を重視するポイントが異なるので、自分自身の適性が最も生かせる保険会社を選ぶことが保険料節約につながります。

今後はドライブレコーダーやカーナビに専用アプリをインストールしたり、衝突安全ブレーキが搭載された車のITシステムと連動してテレマティクス保険が普及されていくと予想されています。また自動運転システムを搭載した車の安全性が認められれば保険料の割引につながると考えられますので、自動車保険の更新の機会に最新情報をチェックし契約車両がどのような割引を受けられるか確認されることをおすすめします。

参考リンク
・国土交通省「テレマティクス等を活用した安全運転促進保険等 による道路交通の安全
・損保ジャパン保険料「ポータルブルスマイリングロード

事故で全損になった場合に請求できる保険金の種類

先日、親戚が運転中にトラックから前面右方から衝突されました。相手方の前方注意不足による右折(赤信号発車)が原因でしたが、幸いにもエアバッグが機能し双方にケガはありませんでした。保険会社の対応も比較的スムーズで相手方の過失100%と判断されたため修理費用などをすべて相手方に請求することができたのですが、親戚が運転している車は「全損」と判断されたため車の買い替えか修理を検討しなくてはいけませんでした。その際に請求できた保険金の種類と全損と判断された場合の注意点についてまとめています。

トラックと衝突事故で全損した車

親戚の車は事故によって前面が大きく凹みフロントガラスも割れてしまっていましたが、エンジンはかかる状態ではありました。修理にかかる費用としては44万円ほどの見積もりが提示されましたが、親戚が乗っている車は型式が古い車両で時価額(30万円)が修理費用の44万円を下回っていたために「全損」と判断されました。

全損とは車が車としての機能を全て失うという意味だけではなく、修理費用が時価額(保険会社が基準価格を参考にしているレッドブックに記載)を上回る状態のことも言います。全損と判断された場合に相手方の保険会社、また自身が加入している保険会社に請求できる保険金はそれぞれ以下の通りです。

  • 相手方の任意保険
  • ・対物賠償保険
  • ・全損時修理特約(相手方)
  • 自身の任意保険
  • ・車両保険
  • ・車両無過失事故特約
  • ・全損時修理特約(車両超過修理費用特約)
  • ・買替時諸費用特約
  • ・新車特約
  • ・ロードサービス(帰宅宿泊費用サービス、無料代車など)
  • ・弁護士費用特約

まず相手方が任意保険に加入しており対物賠償保険を付帯させている場合は、車両の修理費用または全損時には対象車両の時価額を請求することができます。相手方が任意保険に加入していない場合に備えて「無保険車傷害特約」というものもありますが、これは事故によってこちらがケガや死亡した場合のみに補償されるもので自分の車の修理費用は補償されないので注意が必要です。

また無保険車に事故を起こされた場合はこちらの車両保険を使って自身が加入している保険会社に保険金を請求することができますが、こちらに過失が無い場合でも「車両保険無過失事故特約」を付帯させていないと翌年から3等級ダウンとなるので注意が必要です。

どうしても全損した車を修理して乗りたいという場合には、「全損時修理特約」を付帯させておくと車両の時価額を上回る部分について保険会社が負担してくれます。事故の相手方の超過修理費用を補償する特約もあるので、相手方がこの特約に加入している場合は相手方の保険会社に超過分について請求することも可能です。

反対に車を買い替えるという場合には、買い替えにかかる諸費用を負担してくれる「買替時諸費用特約」を付帯しておけば便利です。特に購入して間もない車に対しては「新車特約」を付帯させておけば、新車購入にかかる相当額を保険金として支払ってくれます。

負担してくれる諸費用 負担してくれない諸費用
・廃車費用
・車検費用
・車庫証明登録費用
・自動車取得税
・納車費用(※)
・自動車税
・自動車重量税
・自賠責保険料

また車が使えなくなって買い物や通勤ができなくなって困るという方のために、無料で代車を利用できるサービスがロードサービスの中に含まれている保険会社もあります。無料で代車を利用できるのは修理にかかる期間や買い替えにかかる期間としている保険会社もあれば、1日~1週間までとしている保険会社もあるので契約時に必ず確認するようにしておきましょう。

相手方の過失割合が100%の場合の注意点

相手方の過失割合が100%ということは相手方が事故に関するすべての責任を負うということであり、事故によってこちらが被った損害のすべてを賠償してもらえるように請求することができます。ただし注意しなければいけないので、相手方の過失割合が100%の場合は自身が加入している保険会社が相手方の保険会社と示談交渉を行うことができない点です。そのため、相手方の保険会社と修理工場の指定や修理費用、車の買い替えに必要な諸費用の負担についても自ら交渉しなくてはいけません。

弁護士による交渉

このような場合に備えて「弁護士費用特約」を付帯させておけば、代わりに示談交渉を行ってくれたり裁判にかかる費用を保険会社が負担してくれるので泣き寝入りするリスクを抑えることができます。もちろん任意保険に加入していない無保険車の運転手に対しても継続して交渉してくれるので、交通事故によるトラブルに巻き込まれないためにも弁護士費用特約を付けられることをおすすめします。ちなみに弁護士費用特約のみを使用しても等級はダウンしません。

参考リンク
・SBI損保「全損時諸費用保険金特約

他人名義の車を運転する場合の任意保険の補償

もうすぐ夏休みも近づいてきていますが、旅行やレジャー先へのドライブ途中で運転を代わったり、友人や親族の車を借りてドライブをしたり他人名義の車を運転する機会も多い季節だと思います。このように他人名義の車を運転する場合において、自動車保険(任意保険)の補償を受けるためにはどのようなことが必要になってくるのでしょうか?

まず借りた車に対して所有者(他人)が任意保険をかけているケースを考えてみましょう。自動車保険では保険料を節約するために補償される運転者の範囲を限定することができようになっています。運転する人の属性によって範囲を決めるのが「運転者限定」と呼ばれるもので、大きく分けて「記名被保険者本人限定」「家族限定」「配偶者限定」「限定なし」の4つがあります。また運転する人の年齢によって範囲を決めるのが「年齢条件」と呼ばれるもので、「35歳以上」「30歳以上」「26歳以上」「21歳以上」「年齢制限なし」などに分類されています。

家族で夏休みのドライブ

運転者限定を「限定なし」で設定しているのであれば、他人が契約対象の車を運転して事故を起こしても任意保険の補償を受けることができます。ただし車を借りている運転者が年齢条件も満たしている必要があります。このケースでは他人の任意保険を使わせてもらっている形となりますので、もし事故を起こして保険金を請求すると、自分自身ではなく他人(契約者)の等級がダウンし事故有等級が適用されることになります。そうすると車を貸してくれた人に対して迷惑をかけてしまうので注意が必要です。

保険 契約対象 契約対象外 等級ダウン
運転者限定なし
(他人の任意保険)
自家用車、他人所有の車など なし 他人の等級
他車運転特約 自家用車、他人所有の車など 記名被保険者、配偶者、同居親族が所有していたり使用している車 自身の等級
1日自動車保険 自家用車、他人所有の車など 自分自身や配偶者などが所有している車、日常的または定期的に使用している車 なし

自分自身が自動車保険に加入している場合は、「他車運転特約」を付帯させることによって他人が所有している車を運転していても任意保険の補償を受けることができます。保険料は年間数千円アップしますが、他人が所有している車を借りて運転することがしばしばあり、万が一事故を起こしても貸してくれた人に迷惑をかけたくないという場合におすすめの特約です。ただし、この特約は記名被保険者が所有している別の車や配偶者、同居親族が所有している車には適用されないので注意が必要です。車両保険も補償されますが、自分自身が加入している任意保険の車両保険金額が限度額となります。そのため高級車を借りて事故を起こした場合、修理費用や全損時の車両取得費用に関して差額を自腹で支払う必要があるので注意しておきましょう。

3つ目の方法として「1日自動車保険」というものもあります。1日500円から加入できる短期間の自動車保険で、スマホやコンビニから簡単に加入申込みができるのが特徴です。対人対物補償が無制限、搭乗者傷害保険1,000万円、対物超過補償50万円などの補償内容となっており、各社のロードサービスも無料で利用することができるので旅行やレジャーで他人の車を借りてドライブされる方にもおすすめです。こちらの保険も自分自身や配偶者が所有している車は対象外となっており、また定期的に使用している車(週に1回借りるなど)にもかけることはできません。保険料が上がってしまいますが、車両保険(限度額300万円)を付帯させることもできます。1日自動車保険で事故を起こして保険金を請求しても、他人や自分の等級に影響を与えることがないというのもメリットの1つです。

他人名義の車で自動車保険に加入する場合と注意点

友達から車を譲ってもらって名義が友達のままでも自動車保険に加入することができるのでしょうか?購入した金額の領収書や売買契約書などがあり、実質的に所有者が自分自身になっていると判断されれば車検証の名義が他人のままでも自動車保険に加入することができます。ただし、以下の場合は注意が必要です。

  • 対象車両で任意保険の契約中における事故歴
  • ローン残高(割合)

譲ってもらう前に友人がたくさん事故を起こして保険金を請求し5等級以下になっている場合、名義変更を行っていないと低い等級や事故有等級を引き継がなければ自動車保険に加入することができなくなることがあります。というのも、たくさん事故を起こすと損害保険会社が引受不可という判断を下して、契約を断ることがあります。そこでいったん他人を記名被保険者にして運転者限定なしに設定し自動車保険に加入しようとする人が出てきます。このようなことを防ぐためにも、保険会社は車の所有者と記名被保険者の関係性については必ず確認することにしています。他人名義の車で自動車保険に加入する場合も同様に関係性が確認されますので、等級が低い人の名義のままになっていると高い保険料を支払わなければ自動車保険に加入できなくなることもあります。

また譲ってもらった車のローン残高についても事前に確認しておく必要があります。ローン残高が70%以上を超えているようであれば加入を断られることがあります。こちらは損害保険会社によって対応が異なるので、一括見積もりサービスなどを利用する際に備考欄にローン残高を記載しておけば引受可能か判断してくれます。加入申込みまでにローン残債の支払い義務者(負債者)や車購入に関する書類などの提出を求められることがあるので、不明な点などがあれば各保険会社の担当者に一度問い合わせされることをおすすめします。

参考リンク
・三井ダイレクト損保「車の名義が他人または家族でも自動車保険に加入できましたか?
・セブンイレブンで入る保険「1DAY自動車保険

地震時における自動車保険の補償

2018年6月18日に大阪北部を中心に最大震度6弱の地震が発生しました。私鉄やJR、地下鉄といったあらゆる鉄道が運行停止したり、水道管が破裂し道路が冠水しました。他にもガスや電気などのライフランが止まったり、ブロック塀が倒壊して死傷者も出るなどの大きな被害を受けました。

また瓦が屋根から外れて車に当たってキズがいったり、フロントガラスに直撃して割れてしまうという被害も多数出ました。このような地震による被害は自動車保険で補償されるのでしょうか?

保険の種類 補償対象 補償されるかどうか
車両保険 車両の損傷 補償されない
地震特約(地震等自車両全損一時金特約) 車両の損傷、津波による流出 補償される
対人・対物補償、人身傷害補償、搭乗者傷害補償 人や物に対する損害補償 補償されない
ロードサービス 緊急対応サービス、警備スタッフかけつけ、宿泊費負担など 利用できない

まず車両保険を付帯させていても地震、津波、噴火による自然災害は保障の対象外となっているので注意しておきましょう。台風、洪水、火災が原因による車両への損傷の場合は、車両保険の「一般型」または「エコノミータイプ」を付帯させていれば補償されます。

どうして同じ自然災害でも補償されるケースと補償されないケースが出てくるのでしょうか?自然災害の中でも被害規模が大きくなることが予想される「地震、津波、噴火」の場合は補償対象に含めてしまうと、保険会社が多額の保険金を支払わなければいけない事態に陥ることもあります。保険会社が倒産してしまうと他の保険加入者も通常の補償を受けられなくなるといった影響も出てしまう可能性があり、そのため大規模な自然災害に関しては約款で補償の対象外としている保険会社がほとんどです。

地震、津波、噴火

ただし、保険会社の中では「車両全損時一時金特約」を地震、津波、噴火による被害でも補償しているところもあります。この特約は地震などの自然災害で車が全損したり津波で流されてしまって見つけられなくなった場合でも、一時金として50万円を支払ってくれるという補償内容となっています。車が使えないと通勤や通学、買い物といった生活に支障が出る方にとっては、一時金を利用してすぐに車を確保できるというメリットがあります。保険料は年間2,000~5,000円の間なので、貯蓄があまり無い方は保険で備えておかれることをおすすめします。

またほとんどの保険会社では地震、津波、噴火が発生したことが原因によるロードサービスの利用はできないことになっています。例えば地震が原因で側溝に落輪したり、噴火が原因で道路が利用できなくなり宿泊施設を利用せざるを得なかった場合でも、落輪引き上げサービスや宿泊費用の補償は行ってくれないので注意が必要です。

地震発生時に事故を起こさないポイント

もう1つ注意しなければいけないのが、地震、津波、噴火が原因で対人事故や対物事故を起こしてしまった場合や、運転者自身や搭乗者がケガを負った場合なども自動車保険の補償適用外となってしまう点です。例えば、「地面が激しく揺れてハンドルを取られてしまい、それが原因で人をはねてしまった」「火口から飛び出してきた噴石が車に当たり搭乗者がケガを負った」などのケースでは自動車保険を使うことができません。

上の動画(Youtube)は大阪の地震発生時に運転していた方がドライブレコーダーで撮影したものです。高速道路では揺れがより激しくなっていましたし、運転中に地震に遭遇した場合は「まわりの交通状況を見ながらハザードランプを付けて、徐々にスピードを下げながら道路の左側に停車する」ことが大切です。動画でもハザードランプをつけながら徐行し、道路の左側に停車させている様子が撮影されています。

万が一、車の中で宿泊するケースも想定して「水や乾パンなどの非常食、毛布」といった防災グッズを車内に備えておくこともおすすめします。また地震による被害で保険金を請求する場合は証拠となる写真を撮影しておくと保険金請求の手続きをスムーズに行えます。車を修理に出す前に被害状況が分かる写真を保存しておくようにしましょう。

参考リンク
・アクサダイレクト「地震・噴火・津波危険 車両全損時一時金特約
・JAF「クルマを運転中に地震が発生したら?