自動運転システムと保険適用について

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自動運転システムとは車に搭載されたカメラやレーダー、GPSなどを使って車の走行を自動的に行うシステムです。AI(人工知能)による安全確認で車間距離や走行スピードを制御したり、目的地までのボタン1つで運転を行ってくれるので実用化が期待されているシステムです。自動運転車の市場規模は770兆円とも言われており、各自動車メーカーは自動運転システムの開発と走行実験に力を入れています。また自動運転システムがうまく機能すると事故率を下げる効果も期待されており、自動車保険へ与える影響も非常に大きくなっています。

自動運転システム(AI)

自動運転システムによって走行している車が事故を起こした場合は誰が責任を取るのでしょうか?これまでは車を製造したメーカーの製造者責任も議論されてきましたが、2018年3月に発表された「自動運転に係る制度整備大綱案」では原則的に車の所有者が責任を取ることとなりました。これは所有している車を貸して事故を起こした場合に「運行供用者」が損害賠償の責任を負うことと同じ考え方に基づいています(対人補償は自賠責保険でカバーされます)。ただし今後の自動運転システムの高度化に伴ってより高度なシステムの下での事故については検討課題とされています。

自動運転システムは以下のように1~5のレベルに分けられており、現在では「レベル3:条件付き運転自動化」まで実用化されています。具体的には「同一車線走行(プロパイロット)」「衝突防止自動ブレーキ」「自動駐車システム」などが実用化されています。

自動運転レベル 主体者 概要
レベル1:運転支援 運転者 「前後」または「左右」どちらかの自動制御を行う
レベル2:部分運転自動化 運転者 「前後」および「左右」両方の自動制御を行う
レベル3:条件付き運転自動化 自動システム
(緊急時は運転者)
限定された範囲で自動運転システムが運転を行う(運転者による監視あり)
レベル4:高度運転自動化 自動システム 限定された範囲で自動運転システムが運転を行う(運転者による監視なし)
レベル5:完全運転自動化 自動システム すべての範囲で自動運転システムが運転を行う

2018年には「自動車線変更システム」が搭載された車両が国内でも販売されることとなっており、自動運転システムの普及に伴って自動車保険の補償内容も変化してきています。「三井住友海上」と「あいおいニッセイ同和損保」は、2018年1月から自動運転システムへのサイバー攻撃が原因となる事故を補償する特約を無料で付加しています。今後も自動運転システムの高度化に伴ってニーズに対応した新しい任意保険が販売されることが予想されています。

自動運転車の普及に伴う今後の社会変化

自動運転の実用化が進むと運転に伴う疲労が軽減されたり、運転中に仕事をしたり本を読むことができたりさまざまメリットが生まれます。特に注目されているのは安全性が高まる可能性で、人間が運転するとヒューマンエラーによって一定の操作ミスが起こると考えられていますが、自動運転システムによる事故防止機能が発達すれば人間が運転するよりも事故率が下がる可能性もあります。

そのため、今度は自動運転車の安全性が認められると該当車種の保険料が引き下げられることも予想されています。ただし現段階では判例などもなく、自動運転システムを開発した自動車メーカーと所有者、運転者の責任の境目が曖昧で過失割合も定まっていません。このような状況の中では自動運転の事故に特化した「弁護士費用特約」の販売も期待されています。

余談ですが管理人は趣味で将棋をしており、将棋界ではここ数年で将棋AIソフトがトップレベルのプロ棋士を負かすほどにまでレベルが上がってきています。AIは計算速度が速く人間には考えつかないような上手い手を指す一方で、ある一定の条件下では思考が停止したり一方的な負けを目指す指し方を行うこともあります。

完全な自動運転システムは現在実験段階ですが、もしかするとある状況下では最短距離を目指してしまい壁に激突したり橋のない川を渡ろうとすることも起こり得るかもしれません。そのためしばらくはドライバーがAIを上手く制御するスキルが必要とされますし、運転免許が無いと車を運転することができない状態が続くと考えられます。

また自動運転システムが普及すると反対に飲酒運転が増えてしまうのではという懸念も残っており、アルコール検知や運転者としてのモラル教育についても課題が残っています。自動車保険についても各社が新しい補償を生み出すことが予想されますので、保険対象の車に適した自動車保険を更新のたびに見直すことが大切です。

参考リンク
・国土交通省「自動運転における損害賠償責任に関する研究会
・首相官邸:自動運転に係る制度整備大綱案

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