飲酒運転や煽り運転での補償適用は?(保険金の支払い拒否)

    飲酒運転はダメ

    飲酒運転や煽り運転といった悪質な運転によって引き起こされた事故でも、自動車保険によって補償してもらえるのでしょうか?このページでは補償の適用についてや保険金の支払いが拒否されるケースなどについて解説しています。

    自動車保険の補償適用について

    最近ニュースで騒がせているのが女性タレントによる飲酒ひき逃げ事故です。飲酒運転を行った上に信号無視で歩行者と衝突、救護活動を行ったり警察に連絡することなくその場から立ち去り、その後自ら出頭するという形で逮捕されました。事故の一部始終がドライブレコーダーでも記録されており、事故対応の悪質性からも話題になっています。

    また2017年6月には東名高速では煽り運転を受けたドライバーが追越車線上で停車させられ、後ろからきた大型トラックに追突されたことで夫婦が亡くなるという事件もありました。このような危険な運転をしても自動車保険の補償を受けることができるのでしょうか?

    補償される保険補償されない保険
    自賠責保険
    対人賠償保険
    対物賠償保険
    人身傷害保険
    搭乗者傷害保険
    自損事故保険
    車両保険

    保険金が支払われないケース

    飲酒運転や煽り運転によって引き起こされた事故では、基本的に自動車保険の補償を受けることはできません。保険会社の約款でも免責事項として定められており、運転者による故意や重大な過失(飲酒運転や煽り運転、無免許など)がある場合は保険金を請求しても拒否されます。

    飲酒運転する人

    このような免責事項は契約時に確認することとなっていますが、免責事項が記載されている約款は文章も長く記載されている内容も難しいため、細かいところま確認をせずに契約をされている方も多いと思います。主な損害保険会社では以下のようなケースにおいて保険金を支払わないこととしています。

    • 保険金が支払われないケース
    • ・契約者、被保険者の故意による事故
    • ・記名被保険者の父母、配偶者、子に対する対人、対物補償
    • ・被保険者の重大な過失(酒気帯びまたは飲酒運転、薬物接種による正常に運転できない場合なども)による事故で本人や契約車両に生じた損害
    • ・無免許で運転した場合で本人や契約車両に生じた損害
    • ・海外での交通事故
    • ・運転者限定、年齢制限、使用目的などの補償範囲を外れたケース
    • ・地震、噴火、津波などの大規模な自然災害によって生じた損害
    • ・戦争、外国からの武力行使、暴動、テロ、核燃料物質などによって生じた損害

    契約者や被保険者の故意による交通事故は自動車保険のあらゆる補償から外れます。例えばわざと電柱にぶつけて車を壊し、車両保険で修理費用を支払ってもらおうとしても保険会社の審査によって支払いを拒否されます。これと同様の理由で親族に対する対人、対物賠償保険も補償の対象外となっています。例えば駐車や発車の際に自分の子どもを車でぶつけてしまい亡くなるというケースもありますが、このような場合でも保険金が支払われることはありません。

    また無免許で運転した場合ももちろん保険金が支払われることはありません。契約時には記名被保険者が運転免許証を持っていることを告知する必要がありますが、契約途中で免許停止や免許取り消しになったり、補償範囲に含めている家族や配偶者が無免許で運転しても保険金は支払われません。運転していた本人が人身傷害保険に加入していたり、契約車両に車両保険をかけていても重大な過失の運転の場合は補償の対象外となります。

    支払い対象本人、契約車両配偶者、子ども他人、他人の所有物
    故意による事故×××
    重大な過失×△ ※1
    海外における事故×××
    補償範囲外の事故×××
    台風、洪水、高潮×××
    地震、津波、噴火×××
    ※1 対人、対物賠償保険を除く

    また補償範囲から外れた人が契約対象の車両を運転して事故を起こしても補償対象外となります。運転者限定(家族限定、配偶者限定など)や年齢条件(26歳以上など)をつけることによって保険料を抑えることができますが、任意保険の補償から外れる人が生じるので注意が必要です。特にダイレクト型自動車保険の場合は自分自身で補償内容を設定していくので、万が一の際にも補償漏れが無いように契約前によく確認することが大切です。

    使用目的や住所(主に運転する地域)も告知事項となっているため、事実と異なる内容で契約を行うことは避けましょう。地震、津波、噴火といった大規模災害の場合はも保険金は支払われることはありません。その理由としては災害の規模によっては対象となるすべての保険金を支払うと保険会社が倒産する恐れもあるので、免責事項には保険金を支払わないと記載されています。

    例外として支払われるケース

    飲酒運転や煽り運転、無免許運転などの重大な過失がある運転の場合でも、被害者救済の観点から他人や他人の所有物を補償する「対人、対物賠償保険」は支払い対象となっています。このケースでは加害者であるドライバーではなく被害者に対して保険金が支払われることになります。「自賠責保険」も例外として支払われるケースに該当し、事故の相手方が飲酒運転だった場合でも相手方が加入している保険会社から保険金を受け取ることが可能です。

    飲酒運転や煽り運転で事故を起こし自分自身がケガを負った場合、「搭乗者傷害保険」や「人身傷害保険」は適用されず手術や入院にかかる費用は実費で負担しなければいけません。保険対象の車に別の人が乗っている場合では保険適用されることもありますが、保険会社によって対応が異なるので注意が必要です。また同様の事故で車が壊れてしまった場合でも「車両保険」を使うことができないので、高級車や新車を乗る際には特に気をつける必要があります。

    保険金を請求できる場合も時効に注意

    保険金の支払い対象となる事故の場合でも、事故から60日以内に保険会社に連絡を入れないと保険金支払いを拒否されるので注意が必要です。例えば事故の相手方から示談で解決したいという提案があり、交渉を続けているうちに60日が過ぎてしまったとします。その後、相手方から補償は行わないと言われてしまって慌てて保険会社に連絡をしても保険金支払いの対象外とされてしまうので注意が必要です。

    また保険金が実際に支払われるためには保険会社からの調査を受けたり、振込先を通知するなどの請求手続きが必要となります。保険会社に事故が起こったことを連絡していても、保険金請求を行わないまま3年が過ぎると時効が成立してしまいます。保険金支払い対象となる事故にあったら、まずは保険会社に連絡を行い、担当者の指示に従って速やかに保険金請求の手続きを済ませるようにしましょう。

    罰則と悪質な運転を防ぐポイント

    • 酒酔い運転
    • ・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • ・違反点数35点、免許取り消し、欠格期間3年
    • 酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg/ℓ以上)
    • ・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • ・違反点数25点、免許取り消し、欠格期間2年
    • 酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.15mg~0.25mg/ℓ未満)
    • ・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • ・違反点数13点、免許停止期間90日
    • 煽り運転(高速道路)
    • ・3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
    • ・違反点数2点
    • 煽り運転(一般道路)
    • ・5万円以下の罰金
    • ・違反点数1点

    飲酒運転や煽り運転を行うこと自体は道路交通法違反となり、罰金や免許停止の処分を受けるだけではなく場合によっては懲役刑を受けることもあります。また東名高速での事故を受けて煽り運転に関しては2018年1月17日より累積点数に関わらず最長で180日間の免許停止処分ができるように罰則が強化されました。上述したように自動車保険の補償を受けられないばかりだけではなく、車の運転ができなくなることにもつながるので飲酒運転や煽り運転をしないように日ごろから心がけることが大切です。

    管理人が日ごろから実践している予防方法は、「飲酒運転によって失うものを想像してみる」というものです。車が運転できなくなることによって週末のドライブができなくなる、家族を送迎したり買い物に行けなくなる、社会的な信用を失う、といったイメージを「お酒を飲む前」にしっかりと行っておくことがポイントです。友人の一人はお酒を飲む前に車やバイクのカギを家族に預けておくのも有効な予防策だと話していました。

    頭を抱える男性

    また日ごろから安全運転を心がけることで煽り運転は十分に防ぐことが可能だと感じています。ストレスを感じている心理状態では運転が荒くなってしまう傾向にあるので、サービスエリアやカフェで一休みするなど体調を整えてから運転されることをおすすめします。

    参考リンク
    ・Allabout「飲酒運転で自動車保険は使えるの?
    ・政府広報オンライン「飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」みんなで守ろう 3つの約束
    ・損保ジャパン日本興亜「保険金が支払われないケースはどのようなものがありますか?