自動車保険を使わないメリットと注意点

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先日、会社を経営されている知り合いの方からご相談を受けました。従業員の方が業務として車を運転している際に原付バイクとの接触事故を起こしてしまい、相手方の原付を少し破損(片方のテールランプ)させてしまいました。自動車保険に加入していたので事故担当の方に調査をしてもらったところ、過失割合は10対0、原付が比較的新しいタイプのもので修理に必要な費用などを含めると7万円の損賠賠償という内容で相手方との話を進めているとのことでした。

  • 自動車保険を使うメリット
  • ・保険金を使って損害賠償ができる
  • 自動車保険を使うデメリット
  • ・翌年以降の保険料がアップする(等級ダウン、事故有等級の適用)
  • ・等級アップが遅れる

自動車保険に加入しているので対物賠償保険を使い保険金を損害保険会社に請求することはできますが、保険を使うと等級がダウンしてしまい保険料がアップする点に注意しなければいけません。しかも相手方の所有物を壊す「物損事故」では翌年から等級が3つダウンしてしまうだけではなく、事故有等級が適用されて保険料が大幅にアップしてしまいます。このような軽微な事故の場合では保険を使わず「相手方との示談」で済ませる方がメリットが多いこともあります。

  

経過年数 保険使用 保険不使用
(示談)
1年目 7等級 事故有等級(20%割引) 11等級 事故無等級(47%割引)
2年目 8等級 事故有等級(21%割引) 12等級 事故無等級(48%割引)
3年目 9等級 事故有等級(22%割引) 13等級 事故無等級(49%割引)
3年間の合計保険料額 237,000円 126,000円
4年目 10等級 事故無等級(45%割引) 14等級 事故無等級(50%割引)
5年目 11等級 事故無等級(47%割引) 15等級 事故無等級(51%割引)
6年目 12等級 事故無等級(48%割引) 16等級 事故無等級(52%割引)
4年目から6年目まで3年間の合計保険料額 160,000円 147,000円

例えば10等級の人が3等級ダウン事故を起こしてしまい保険金を請求した場合で考えてみましょう。ベースとなる保険料を10万円と仮定すると、保険金を使った場合の向こう3年間の保険料は237,000円となります。反対に保険を使わず示談で済ませた場合、3年間の保険料は合計126,000円となり10万円以上の差が生まれます。また1~5等級の場合は保険料が大きくアップしてしまうので、等級が低い方は保険を使う使わないによって保険料の差がより大きくなります。

保険を使うか悩む夫婦

また等級がアップされる時期が遅れてしまうため、4年目~6年目の3年間の保険料で比較しても保険を使用しない方が1万円ほどトータルで節約することができます。以上の点から考えると10万円を超えない損賠賠償額であれば保険を使用せずに示談で解決する方が得だと言えます。反対に10万円を超えるような大きな事故や、盗難や飛び石といった1ダウン事故であれば保険を使用した方がお得であると考えられます。

  • 3等級ダウン事故
  • ・対人賠償保険、対物賠償保険
  • ・車両保険
  • ・当て逃げ
  • 1等級ダウン事故
  • ・車の盗難
  • ・飛び石
  • ・いたずら、落書き
  • ・水災、台風
  • ノーカウント事故
  • ・搭乗者傷害保険、人身傷害保険
  • ・無保険車傷害保険
  • ・弁護士費用特約
  • ・個人賠償特約
  • ・ファミリーバイク特約

ちなみに1等級ダウン事故には車両の盗難や飛び石によるフロントガラスなどの修理も含まれているので、保険を使用したとしても翌年のみ保険料が上がるだけで2年目以降は通常の保険料となります。また人身傷害保険や無保険車障害保険のようにこちらの過失具合が問われない事故に関しては等級が下がらないノーカウント事故となります。

自動車保険を使わない場合の注意点

自動車保険を使用しない場合は相手方と示談交渉によって損害賠償額の算出や最終的な和解案について取り決める必要があります。ところが過失割合が100-0のようなどちらかに過失がない事故の場合、過失が無い方が加入している損害保険会社は示談交渉を代わりに行ってくれません。これは過失がない事故に関しては交渉が行えないことになっているためです。そのためこちらが無過失であった場合、相手方や相手方の損害保険会社と直接交渉を行う必要があります。

このような場合に自ら示談交渉に臨むのではなく交通事故専門の弁護士に交渉を委任できる弁護士費用特約というものがあります。相手方が自動車保険に加入していない場合、特に損害賠償金が大きくなるようなケースでは賠償金の支払いを拒否されることもあります。示談交渉はとても複雑で大きな手間も必要とするため、専門的な知識を持った弁護士に一任できると便利です。ちなみに弁護士費用特約を使用しても等級がダウンすることはないので、万が一の事故にあって泣き寝入りしたくないという方はこの特約をセットされることをおすすめします。

また相手方の損害が10万円、こちらの損害が20万円というような事故の場合では、双方の損害を相殺して相手方から10万円を支払ってもらう「相殺払い」という方法もあります。相殺払いでは相手方の保険会社へと請求することも可能ですが、相手が保険を使用したくないと言われたケースでは支払方法と期限を必ず書面で確認するようにしましょう。

参考リンク
・弁護士による自動車事故SOS「示談交渉で被害者がやってはいけない7つのこと

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