自動車保険の基礎知識

自動車保険見積もり時に役立つ用語集

9月末で自動車保険の更新をされる方やダイレクト型に切り替えて初めて自ら補償内容を選択される方も多いと思います。そこで見積もり依頼をする際に理解しておきたい用語について解説します。

初心者の方でも安心

項目 用語 概要
契約、運転者 記名被保険者 契約車を主に運転される方で、契約車を自由に使用できる正当な権利を持っている方、また等級や保険料に影響
契約者 損害保険会社と契約を結ぶ方で、保険料の支払い義務を負う
所有者 車検証に記載されている契約車の所有者、車両保険金を受け取る

まず、記名被保険者、契約者、所有者との関係性ですが、記名被保険者は任意保険の契約対象となっている車を主に運転する人のことを言います。そのため記名被保険者の年齢や運転する地域、免許の種類(ゴールド免許など)によって保険料が変わる重要な要素です。契約者とは損保会社と任意保険の契約を結ぶ人のことで、未成年が自動車保険に加入する場合に親が契約者となることで契約を結ぶことができます。所有者は車検証に記載されている氏名の方で、車両保険に関わる保険金を受け取る権利を持っています。これらの設定は重要な告知事項となっているため、保険期間中に変更された場合は速やかに保険会社に連絡しましょう。

これらの設定をうまく行うことで保険料を抑えることも可能です。例えば同居している18歳の子どもと40歳の親が同じ車を共有して運転する場合、18歳の子どもを記名被保険者とすると年齢が原因で保険料が大幅にアップしてしまうため、親を記名被保険者として子どもを補償範囲に含めると保険料を抑えることができます。ただし、親が保険期間中に事故を起こして事故有等級が適用される場合はこどもを被保険者とした方が保険料が安くなるケースもあるので、一括見積もりサービスなどを利用して予め確認しておきましょう。

項目 用語 概要
使用目的、走行距離 日常、レジャー 買い物やお出かけのみで使用する(3,000~10,000km)
通勤、通学 週5日または月15日以上、通勤や通学で使用する(10,000~15,000km)
業務 週5日または月15日以上、仕事で使用する

次に使用目的ですが、「日常、レジャー」「通勤、通学」「業務」の3つから選択する必要があります。日常・レジャーは買い物や週末のドライブのみで車を使用するケースで選択することができ、事故率が最も低いと考えらえるため保険料も安くなります。通学・通勤は年間を通じて週に5日以上、または月に15日以上で契約車を通勤や通学で利用するケースで選ぶことができます。最後に業務ですが、年間を通じて週5日または月15日以上で仕事として利用する場合で、最も事故率が高いと想定されるため保険料も高くなります。こちらも重要な告知事項となっているため、本当は仕事として使用しているのに偽って日常・レジャーで申告すると補償を受けられないこともあるので注意が必要です。

また保険会社によっては走行距離割引を設けているところもあり、年間走行距離を選択しないと見積もり価格が表示されないところもあります。日常生活で近所のスーパーに買い物に行ったり病院に通院する程度では5,000km未満でも問題ありません。日常の買い物に加えて週末にドライブ(運転時間2時間以内)を行う方では5,000~10,000kmが走行距離の目安となります。週末にロングドライブ(運転時間2時間以上)を行ったりお盆や年末年始に車で帰省される方は10,000~15,000kmが走行距離設定となります。

補償範囲を決めるポイント

項目 用語 概要 割引率
補償範囲 本人限定 記名被保険者のみが補償対象となる およそ7%
配偶者限定 記名被保険者とその配偶者が補償対象となる/td>

およそ6%
家族限定 記名被保険者とその配偶者、および同居の親族、別居の未婚の子 およそ1%
限定なし 運転者に関わらず補償が適用される 割引なし

運転者の補償範囲の設定は車をどのように使用するかでよく考える必要があります。例えば別居の未婚の子がたまに帰省して運転するのであれば家族限定で問題ありませんし、帰省するのが数年に一度というのであればコンビニなどで手軽に加入できる一日自動車保険の方が保険料が安く済みます。ただ、家族限定は今後については廃止を検討している損保会社も多く(限定なしとほとんど保険料の差異が無いため)、現在の保険で家族限定とされている方は限定なしを選択されることをおすすめします。

本人限定と配偶者限定は6~7%の割引が受けられるため、車を運転するケースをよく考えた上で積極的に活用したいところです。夫、妻がそれぞれ自分用の車を所有しており、普段はそれぞれの車を運転している場合でも、事故や車検などでどちらか一方の車が運転できなくなることもよくあるケースです。本人限定と配偶者限定では保険料に大きな差はありませんので、夫婦そろって免許証を保有されているのであれば配偶者限定を選択されることをおすすめします。

参考リンク
・三井ダイレクト損保「用語集

保険会社を乗り換える際の注意点

9月は自動車保険の更新を迎える方も多く、現在加入している任意保険から他の損保会社への乗り換えを検討されている方もたくさんいらっしゃると思います。また何らかの理由で途中解約を行って別の自動車保険への加入を検討されている方もいらっしゃるので、他社へ乗り換える際の注意点や確認事項、手続き方法などについてまとめてみたいと思います。

まず満期更新の際に他社へ乗り換える場合は、補償の「空白期間」と「等級の引継ぎ」について気を付ける必要があります。例えば10月1日が満期日に設定されている場合、ほとんどの保険会社では満期日の16時00分に補償が終了することになります。一方で補償開始日は午前0時からとなっているため、もし10月2日から新しい保険会社の補償開始日と設定されていれば10月1日の16時00分から23時59分までは補償から外れる「空白期間」となってしまいます。このような空白期間を作らないために前の自動車保険の満期日と、新しい自動車保険の補償開始日を同じ日に設定しておくことが大切です。

また他社への等級引継ぎは「前の保険の解約日、または満期日より7日以内に新しい保険に加入すること」が条件となっているため、等級がリセットされないためにはできるだけ早く新しい自動車保険への加入手続きをしておきましょう。一部の自動車共済では等級引継ぎに対応していないところ(自治労自動車共済など)もあるので、事前によく確認しておくことが大切です。

項目 更新 中途解約
解約返戻金 なし あり
事故なしの場合 1等級アップ 等級変わらず
事故ありの場合 等級変わらず 1等級または3等級ダウン

補償期間中に中途解約をして他社に乗り換える場合、保険料を年間で一括払いしているのであれば「解約返戻金」を受け取れる可能性があります。保険会社ごとに「短期率(返還率)」が設定されており、残りの保険期間に応じて保険料が契約者へと返還されます。例えば補償開始から7ヶ月後に中途解約をした場合、年間保険料の25%が解約返戻金として返還されます。

補償開始から 短期率(返還率) 補償開始から 短期率(返還率)
7日 90% 6ヶ月 30%
15日 85% 7ヶ月 25%
1ヶ月 75% 8ヶ月 20%
2ヶ月 65% 9ヶ月 15%
3ヶ月 55% 10ヶ月 10%
4ヶ月 45% 11ヶ月 5%
5ヶ月 35% 12ヶ月 0%

また中途解約の場合には等級の取り扱い方も異なるので注意が必要です。保険期間中に事故を起こさず次の更新で等級がアップする予定だった場合、中途解約で新しい保険会社に乗り換えても等級は上がらず次回の更新まで待たなければいけません。反対に保険期間中に事故を起こして等級がダウンする予定だった場合は、中途解約で新しい保険会社で契約を行うとすぐにダウン等級(保険金の種類に応じて1等級または3等級)が適用されます。また事故を起こしたことを隠して他社に乗り換えると告知義務違反となり、補償が受けられなくなったり契約を解除されることもあるので注意しておきましょう。

他社乗り換えのプロセスと手続き方法

自動車保険を他の損害保険会社に乗り換える際は、まず現在の補償内容に過不足がないか、どのような割引が適用されているか確認しておきましょう。損保会社によっては「長期契約割引」が適用されているものもあるので、他社に乗り換えると継続割引が途切れてしまいます。

また代理店からダイレクト型に乗り換えると「ネット割引1万円」といった保険料の割引も受けられますが、補償内容を自分で確認して申し込む必要がありますし、ロードサービスもこれまでのものと大きく変わってしまうので注意が必要です。そのため満期の1ヶ月ほど前から新しい自動車保険の候補をいくつか決めておき、よく比較検討することが大切です。

  • 1.補償内容、保険料、割引などの比較検討(満期の1ヶ月ほど前から)
  • 2.新しく加入する保険会社に加入を申込む
  • 3.現在加入している保険会社に更新しないことを伝える
  • 4.満期日を持って補償が新しい保険会社に切り替わる

乗り換え先の保険会社が決まれば契約の申込みをまず行い、保険契約ができるかどうか(引受可能)の回答を待つことになります。問題が無ければ電話やネットから手続きを行い、現在加入している自動車保険の満期日を補償開始日として契約を行いましょう。自動更新特約を付帯させていると自動的に保険契約が更新されてしまうので、現在加入している損保会社に次回の満期日に更新しない旨を伝えるようにしておきましょう。

その後、新しい自動車保険の保険料の支払いなどの手続きを行います。1週間ほどで登録した自宅まで加入手続き完了のハガキや封筒が届きますので、等級の引継ぎなども踏まえて契約内容を確認することができます。また新規加入で応募できるキャンペーンも数多くあるので、該当される方は締切日までに手続きを済ませることをおすすめします。

参考リンク
・ソニー損保「短期料率(短期率)

結婚した場合の自動車保険の見直し

管理人の友人が最近結婚して新車の購入と自動車保険への加入を検討しています。友人は実家暮らしで家族と車を共有して使っておりブルー免許、奥さんも実家暮らしでペーパードライバーのゴールド免許で、これから新居を探して近いうちの引っ越しを予定しています。こういった場合にお得な加入方法は無いの?と質問されたので、結婚する際の自動車保険へのお得な加入方法や注意点についてまとめて紹介していきたいと思います。

結婚したカップル

  • 新郎(友人) … 38歳、実家暮らし、ブルー免許、親と車を共有、父親が契約者と記名被保険者、家族限定特約、16等級
  • 新婦 … 29歳、実家暮らし、ゴールド免許

現在新居を探している最中でお互いにまだ実家暮らしとのことだったので、「家族間の等級引継ぎ」をしてみてはと話をさせてもらいました。家族間の等級引継ぎは同居していることが条件となっているため、新居に引っ越してしまうと等級の引継ぎができなくなります。ちなみにもし新郎の家に新婦が引っ越してきて同居するのであれば、「同居家族(6親等内の血族、3親等内の姻族)」の条件を満たすので新婦が新郎の親から等級を引き継ぐことも可能です。

また配偶者への等級引継ぎも可能ですので、夫が自動車保険に加入しているのであれば妻へ等級を引き継がさせることができます。今回の場合では、新婦が新郎の実家に同居することはないとのことでしたので、新居に引っ越す前に新郎が親からの等級を引き継ぎ新郎の親は新しく自動車保険に加入することとしました。その際に子どもへの補償を外し補償範囲を限定することで保険料を節約することができますが、子どもが帰省した際に実家の車を運転しても補償が受けられなくなるので注意が必要です。

  • 結婚前(引越し前)のチェックポイント
  • ・親から等級の引き継ぎ(同居しているうちに)
  • 結婚後(引越し後)のチェックポイント
  • ・住所、苗字の変更
  • ・運転者限定の見直し
  • 保険加入前のチェックポイント
  • ・どちらを記名被保険者とするか
  • ・配偶者限定とするか限定なしとするか
  • ・特約の選定(個人賠償責任保険など)

新居に引っ越した後は自動車保険の契約時に記載した住所の変更届を損害保険会社に連絡する必要があります。住所を変更しないままで放置しておくといざという時も補償を受けられなくなり、任意保険へ未加入の状態と同じになるので注意が必要です。入籍を済ませて新婦(または新郎)の苗字が変更となった場合、契約者や記名被保険者の氏名の変更届も同じく必要となります。

また今回の場合のように新婦がゴールド免許であれば、奥さんを記名被保険者としてゴールド免許割引の適用を受けることができます。新しく購入する車は夫婦だけが運転するのであれば配偶者限定をつけることで保険料が安くなりますし、日常生活におけるほかの補償(個人賠償責任特約、ファミリーバイク特約など)についても他の保険と重複していたり補償漏れがないかしっかりと点検しておくことが大切です。

もし離婚した場合は…

あまり考えたくないことではありますが、万が一離婚した場合にはどのような手続きが必要となるのでしょうか。車の所有者が夫で引き続き夫が運転する場合では、記名被保険者を夫に変更するように損害保険会社に連絡する必要があります。また妻が運転する場合であっても住所や氏名の変更を保険会社に連絡し、車を財産分与で譲ってもらったのであれば所有者の名義も変更する必要があります。

  • ・住所、苗字の変更
  • ・配偶者限定の見直し
  • ・財産分与(車所有者の名義、等級の引継ぎなど)

もし自動車と自動車保険をセットで妻に譲るということになれば、結婚しているうちで無ければ等級を引き継ぐことはできません。いったん離婚してしまったり子どもが別の住居で生活をスタートしてしまうと妻や子供に等級を引き継がせることができなくなるので、離婚することが決まったら離婚届を出す前に等級も含めて財産分与の協議を行っておくことが大切です。

参考リンク
・SORAHO「結婚時の自動車保険の切り替えや見直しについて

テレマティクス保険の特徴と各社比較

テレマティクス保険とはドライブレコーダーや専用のスマホアプリなどを用いて、車の走行距離や運転者の安全運転レベルの分析や測定を行い自動車保険の保険料に反映させるというものです。測定装置の精度が向上したことで日本にも導入されるようになり、2020年には任意保険の加入者のおよそ3割がテレマティクス保険を利用すると予測されています。

安全運転を行う女性

テレマティクスとはTelecommunication(通信)とInformatics(情報工学)を組み合わせたもので、大きく分けて「走行距離連動型(PAYD)」と「運転行動連動型(PHYD)」の2種類があります。走行距離連動型はGPSなどを利用して車の年間走行距離を測定し、走った分=リスクの大きさに応じて保険料に反映させています。一方で運転行動連動型は比較的新しいタイプのテレマティクス保険で、保険会社から支給される専用装置(ドライブレコーダー、ブラックボックスなど)を対象車両に取り付けて安全運転のレベルを測定します。

  • 走行距離連動型(PAYD) … 走行距離に応じて保険料が変わる
  • 運転行動連動型(PHYD) … 運転者の安全運転スコアに応じて保険料が変わる

特に注目を集めているのは「運転行動連動型」で、安全運転を行う被保険者が最大20%の保険料割引を受けられるようになっています。また政府もテレマティクス保険加入者の運転方法を分析し、事故率低下に寄与しているか統計分析を行うこととしています。テレマティクスの装置を用いて保険会社が集める情報は以下のようになっており、それぞれの会社ごとに計算方法や事故率に対する考え方が異なるので同じデータであっても保険料への影響は異なります。

運転情報 運転行動情報
・運転日時、運転時間、頻度
・運転距離
・運転場所
・最高速度、平均速度
・アクセル、ブレーキ(頻度、強さ)
・車線変更(速度、頻度)
・コーナリング
・エンジン回転数

現在日本でテレマティクス保険を導入しているのは、「損保ジャパン日本興亜」「ソニー損保」「セゾン自動車火災」「三井住友海上」「東京海上日動」「あいおいニッセイ同和損保」「チューリッヒ」です。各社の記録方法や対応している連動タイプ、最大割引率は以下のようになっています。

保険会社 名称、記録装置 対応タイプ 最大割引率、利用料
損保ジャパン日本興亜 ポータルスマイリングロード
(カーナビアプリ)
走行距離
運転行動
-%
20%
ソニー損保 やさしい運転キャッシュバック
(ドライブカウンタ)
走行距離
運転行動
-%
20%
セゾン自動車火災 おとなの自動車保険
(専用車載器+スマホアプリ)
事故対応 無料
三井住友海上 GK 見守るクルマの保険
(専用車載器+スマホアプリ)
運転行動、事故対応 月額300円
あいおいニッセイ
同和損保
タフ・見守るクルマの保険
(専用車載器+スマホアプリ)
運転行動、事故対応 月額300円
東京海上日動 ドライブエージェントパーソナル
(ドライブレコーダー)
運転行動、事故対応 月額650円
チューリッヒ Z-Assist
(ドライブレコーダー)
運転行動、事故対応

テレマティクス保険を提供している損保会社の中でも運転行動連動型を利用して保険料の割引を行っているのは「損保ジャパン日本興亜」と「ソニー損保」の2社のみで、安全運転スコアが最高レベルを獲得すると保険料が最大20%となるので、安全運転に自信がある方は加入を検討してみましょう。

残りの会社はドライブレコーダーやスマホアプリを使って安全運転スコアを測定したり、万が一の事故の際にGPSを使って迅速に事故対応ができるようになっています。ただし、事故対応のサービスを向上させるためのテレマティクス保険は月額保険料が300~650円上がってしまうところもあるので注意が必要です。各社が提供している無料利用できるロードサービスの内容を確認した上で、必要なサービスか検討することが大切です。

テレマティクス保険で節約するポイント

テレマティクス保険の割引制度をうまく活用すれば保険料を大きく節約することができます。反対にペーパードライバーで運転技術が未熟な運転手にとっては、ゴールド免許割引が適用されたとしてもこれまで以上に保険料が割引されない可能性もあります。各保険会社によって安全運転スコアの採点方法や割引を重視するポイントが異なるので、自分自身の適性が最も生かせる保険会社を選ぶことが保険料節約につながります。

今後はドライブレコーダーやカーナビに専用アプリをインストールしたり、衝突安全ブレーキが搭載された車のITシステムと連動してテレマティクス保険が普及されていくと予想されています。また自動運転システムを搭載した車の安全性が認められれば保険料の割引につながると考えられますので、自動車保険の更新の機会に最新情報をチェックし契約車両がどのような割引を受けられるか確認されることをおすすめします。

参考リンク
・国土交通省「テレマティクス等を活用した安全運転促進保険等 による道路交通の安全
・損保ジャパン保険料「ポータルブルスマイリングロード

事故で全損になった場合に請求できる保険金の種類

先日、親戚が運転中にトラックから前面右方から衝突されました。相手方の前方注意不足による右折(赤信号発車)が原因でしたが、幸いにもエアバッグが機能し双方にケガはありませんでした。保険会社の対応も比較的スムーズで相手方の過失100%と判断されたため修理費用などをすべて相手方に請求することができたのですが、親戚が運転している車は「全損」と判断されたため車の買い替えか修理を検討しなくてはいけませんでした。その際に請求できた保険金の種類と全損と判断された場合の注意点についてまとめています。

トラックと衝突事故で全損した車

親戚の車は事故によって前面が大きく凹みフロントガラスも割れてしまっていましたが、エンジンはかかる状態ではありました。修理にかかる費用としては44万円ほどの見積もりが提示されましたが、親戚が乗っている車は型式が古い車両で時価額(30万円)が修理費用の44万円を下回っていたために「全損」と判断されました。

全損とは車が車としての機能を全て失うという意味だけではなく、修理費用が時価額(保険会社が基準価格を参考にしているレッドブックに記載)を上回る状態のことも言います。全損と判断された場合に相手方の保険会社、また自身が加入している保険会社に請求できる保険金はそれぞれ以下の通りです。

  • 相手方の任意保険
  • ・対物賠償保険
  • ・全損時修理特約(相手方)
  • 自身の任意保険
  • ・車両保険
  • ・車両無過失事故特約
  • ・全損時修理特約(車両超過修理費用特約)
  • ・買替時諸費用特約
  • ・新車特約
  • ・ロードサービス(帰宅宿泊費用サービス、無料代車など)
  • ・弁護士費用特約

まず相手方が任意保険に加入しており対物賠償保険を付帯させている場合は、車両の修理費用または全損時には対象車両の時価額を請求することができます。相手方が任意保険に加入していない場合に備えて「無保険車傷害特約」というものもありますが、これは事故によってこちらがケガや死亡した場合のみに補償されるもので自分の車の修理費用は補償されないので注意が必要です。

また無保険車に事故を起こされた場合はこちらの車両保険を使って自身が加入している保険会社に保険金を請求することができますが、こちらに過失が無い場合でも「車両保険無過失事故特約」を付帯させていないと翌年から3等級ダウンとなるので注意が必要です。

どうしても全損した車を修理して乗りたいという場合には、「全損時修理特約」を付帯させておくと車両の時価額を上回る部分について保険会社が負担してくれます。事故の相手方の超過修理費用を補償する特約もあるので、相手方がこの特約に加入している場合は相手方の保険会社に超過分について請求することも可能です。

反対に車を買い替えるという場合には、買い替えにかかる諸費用を負担してくれる「買替時諸費用特約」を付帯しておけば便利です。特に購入して間もない車に対しては「新車特約」を付帯させておけば、新車購入にかかる相当額を保険金として支払ってくれます。

負担してくれる諸費用 負担してくれない諸費用
・廃車費用
・車検費用
・車庫証明登録費用
・自動車取得税
・納車費用(※)
・自動車税
・自動車重量税
・自賠責保険料

また車が使えなくなって買い物や通勤ができなくなって困るという方のために、無料で代車を利用できるサービスがロードサービスの中に含まれている保険会社もあります。無料で代車を利用できるのは修理にかかる期間や買い替えにかかる期間としている保険会社もあれば、1日~1週間までとしている保険会社もあるので契約時に必ず確認するようにしておきましょう。

相手方の過失割合が100%の場合の注意点

相手方の過失割合が100%ということは相手方が事故に関するすべての責任を負うということであり、事故によってこちらが被った損害のすべてを賠償してもらえるように請求することができます。ただし注意しなければいけないので、相手方の過失割合が100%の場合は自身が加入している保険会社が相手方の保険会社と示談交渉を行うことができない点です。そのため、相手方の保険会社と修理工場の指定や修理費用、車の買い替えに必要な諸費用の負担についても自ら交渉しなくてはいけません。

弁護士による交渉

このような場合に備えて「弁護士費用特約」を付帯させておけば、代わりに示談交渉を行ってくれたり裁判にかかる費用を保険会社が負担してくれるので泣き寝入りするリスクを抑えることができます。もちろん任意保険に加入していない無保険車の運転手に対しても継続して交渉してくれるので、交通事故によるトラブルに巻き込まれないためにも弁護士費用特約を付けられることをおすすめします。ちなみに弁護士費用特約のみを使用しても等級はダウンしません。

参考リンク
・SBI損保「全損時諸費用保険金特約

他人名義の車を運転する場合の任意保険の補償

もうすぐ夏休みも近づいてきていますが、旅行やレジャー先へのドライブ途中で運転を代わったり、友人や親族の車を借りてドライブをしたり他人名義の車を運転する機会も多い季節だと思います。このように他人名義の車を運転する場合において、自動車保険(任意保険)の補償を受けるためにはどのようなことが必要になってくるのでしょうか?

まず借りた車に対して所有者(他人)が任意保険をかけているケースを考えてみましょう。自動車保険では保険料を節約するために補償される運転者の範囲を限定することができようになっています。運転する人の属性によって範囲を決めるのが「運転者限定」と呼ばれるもので、大きく分けて「記名被保険者本人限定」「家族限定」「配偶者限定」「限定なし」の4つがあります。また運転する人の年齢によって範囲を決めるのが「年齢条件」と呼ばれるもので、「35歳以上」「30歳以上」「26歳以上」「21歳以上」「年齢制限なし」などに分類されています。

家族で夏休みのドライブ

運転者限定を「限定なし」で設定しているのであれば、他人が契約対象の車を運転して事故を起こしても任意保険の補償を受けることができます。ただし車を借りている運転者が年齢条件も満たしている必要があります。このケースでは他人の任意保険を使わせてもらっている形となりますので、もし事故を起こして保険金を請求すると、自分自身ではなく他人(契約者)の等級がダウンし事故有等級が適用されることになります。そうすると車を貸してくれた人に対して迷惑をかけてしまうので注意が必要です。

保険 契約対象 契約対象外 等級ダウン
運転者限定なし
(他人の任意保険)
自家用車、他人所有の車など なし 他人の等級
他車運転特約 自家用車、他人所有の車など 記名被保険者、配偶者、同居親族が所有していたり使用している車 自身の等級
1日自動車保険 自家用車、他人所有の車など 自分自身や配偶者などが所有している車、日常的または定期的に使用している車 なし

自分自身が自動車保険に加入している場合は、「他車運転特約」を付帯させることによって他人が所有している車を運転していても任意保険の補償を受けることができます。保険料は年間数千円アップしますが、他人が所有している車を借りて運転することがしばしばあり、万が一事故を起こしても貸してくれた人に迷惑をかけたくないという場合におすすめの特約です。ただし、この特約は記名被保険者が所有している別の車や配偶者、同居親族が所有している車には適用されないので注意が必要です。車両保険も補償されますが、自分自身が加入している任意保険の車両保険金額が限度額となります。そのため高級車を借りて事故を起こした場合、修理費用や全損時の車両取得費用に関して差額を自腹で支払う必要があるので注意しておきましょう。

3つ目の方法として「1日自動車保険」というものもあります。1日500円から加入できる短期間の自動車保険で、スマホやコンビニから簡単に加入申込みができるのが特徴です。対人対物補償が無制限、搭乗者傷害保険1,000万円、対物超過補償50万円などの補償内容となっており、各社のロードサービスも無料で利用することができるので旅行やレジャーで他人の車を借りてドライブされる方にもおすすめです。こちらの保険も自分自身や配偶者が所有している車は対象外となっており、また定期的に使用している車(週に1回借りるなど)にもかけることはできません。保険料が上がってしまいますが、車両保険(限度額300万円)を付帯させることもできます。1日自動車保険で事故を起こして保険金を請求しても、他人や自分の等級に影響を与えることがないというのもメリットの1つです。

他人名義の車で自動車保険に加入する場合と注意点

友達から車を譲ってもらって名義が友達のままでも自動車保険に加入することができるのでしょうか?購入した金額の領収書や売買契約書などがあり、実質的に所有者が自分自身になっていると判断されれば車検証の名義が他人のままでも自動車保険に加入することができます。ただし、以下の場合は注意が必要です。

  • 対象車両で任意保険の契約中における事故歴
  • ローン残高(割合)

譲ってもらう前に友人がたくさん事故を起こして保険金を請求し5等級以下になっている場合、名義変更を行っていないと低い等級や事故有等級を引き継がなければ自動車保険に加入することができなくなることがあります。というのも、たくさん事故を起こすと損害保険会社が引受不可という判断を下して、契約を断ることがあります。そこでいったん他人を記名被保険者にして運転者限定なしに設定し自動車保険に加入しようとする人が出てきます。このようなことを防ぐためにも、保険会社は車の所有者と記名被保険者の関係性については必ず確認することにしています。他人名義の車で自動車保険に加入する場合も同様に関係性が確認されますので、等級が低い人の名義のままになっていると高い保険料を支払わなければ自動車保険に加入できなくなることもあります。

また譲ってもらった車のローン残高についても事前に確認しておく必要があります。ローン残高が70%以上を超えているようであれば加入を断られることがあります。こちらは損害保険会社によって対応が異なるので、一括見積もりサービスなどを利用する際に備考欄にローン残高を記載しておけば引受可能か判断してくれます。加入申込みまでにローン残債の支払い義務者(負債者)や車購入に関する書類などの提出を求められることがあるので、不明な点などがあれば各保険会社の担当者に一度問い合わせされることをおすすめします。

参考リンク
・三井ダイレクト損保「車の名義が他人または家族でも自動車保険に加入できましたか?
・セブンイレブンで入る保険「1DAY自動車保険

地震時における自動車保険の補償

2018年6月18日に大阪北部を中心に最大震度6弱の地震が発生しました。私鉄やJR、地下鉄といったあらゆる鉄道が運行停止したり、水道管が破裂し道路が冠水しました。他にもガスや電気などのライフランが止まったり、ブロック塀が倒壊して死傷者も出るなどの大きな被害を受けました。

また瓦が屋根から外れて車に当たってキズがいったり、フロントガラスに直撃して割れてしまうという被害も多数出ました。このような地震による被害は自動車保険で補償されるのでしょうか?

保険の種類 補償対象 補償されるかどうか
車両保険 車両の損傷 補償されない
地震特約(地震等自車両全損一時金特約) 車両の損傷、津波による流出 補償される
対人・対物補償、人身傷害補償、搭乗者傷害補償 人や物に対する損害補償 補償されない
ロードサービス 緊急対応サービス、警備スタッフかけつけ、宿泊費負担など 利用できない

まず車両保険を付帯させていても地震、津波、噴火による自然災害は保障の対象外となっているので注意しておきましょう。台風、洪水、火災が原因による車両への損傷の場合は、車両保険の「一般型」または「エコノミータイプ」を付帯させていれば補償されます。

どうして同じ自然災害でも補償されるケースと補償されないケースが出てくるのでしょうか?自然災害の中でも被害規模が大きくなることが予想される「地震、津波、噴火」の場合は補償対象に含めてしまうと、保険会社が多額の保険金を支払わなければいけない事態に陥ることもあります。保険会社が倒産してしまうと他の保険加入者も通常の補償を受けられなくなるといった影響も出てしまう可能性があり、そのため大規模な自然災害に関しては約款で補償の対象外としている保険会社がほとんどです。

地震、津波、噴火

ただし、保険会社の中では「車両全損時一時金特約」を地震、津波、噴火による被害でも補償しているところもあります。この特約は地震などの自然災害で車が全損したり津波で流されてしまって見つけられなくなった場合でも、一時金として50万円を支払ってくれるという補償内容となっています。車が使えないと通勤や通学、買い物といった生活に支障が出る方にとっては、一時金を利用してすぐに車を確保できるというメリットがあります。保険料は年間2,000~5,000円の間なので、貯蓄があまり無い方は保険で備えておかれることをおすすめします。

またほとんどの保険会社では地震、津波、噴火が発生したことが原因によるロードサービスの利用はできないことになっています。例えば地震が原因で側溝に落輪したり、噴火が原因で道路が利用できなくなり宿泊施設を利用せざるを得なかった場合でも、落輪引き上げサービスや宿泊費用の補償は行ってくれないので注意が必要です。

地震発生時に事故を起こさないポイント

もう1つ注意しなければいけないのが、地震、津波、噴火が原因で対人事故や対物事故を起こしてしまった場合や、運転者自身や搭乗者がケガを負った場合なども自動車保険の補償適用外となってしまう点です。例えば、「地面が激しく揺れてハンドルを取られてしまい、それが原因で人をはねてしまった」「火口から飛び出してきた噴石が車に当たり搭乗者がケガを負った」などのケースでは自動車保険を使うことができません。

上の動画(Youtube)は大阪の地震発生時に運転していた方がドライブレコーダーで撮影したものです。高速道路では揺れがより激しくなっていましたし、運転中に地震に遭遇した場合は「まわりの交通状況を見ながらハザードランプを付けて、徐々にスピードを下げながら道路の左側に停車する」ことが大切です。動画でもハザードランプをつけながら徐行し、道路の左側に停車させている様子が撮影されています。

万が一、車の中で宿泊するケースも想定して「水や乾パンなどの非常食、毛布」といった防災グッズを車内に備えておくこともおすすめします。また地震による被害で保険金を請求する場合は証拠となる写真を撮影しておくと保険金請求の手続きをスムーズに行えます。車を修理に出す前に被害状況が分かる写真を保存しておくようにしましょう。

参考リンク
・アクサダイレクト「地震・噴火・津波危険 車両全損時一時金特約
・JAF「クルマを運転中に地震が発生したら?

梅雨時期の事故予防と保険による補償

6月に入りそろそろ梅雨の時期が近づいてきていますが、梅雨の季節は自動車による交通事故も多い時期なので注意が必要です。まずは2014年6月29日に渋谷付近で撮影されたこちらの動画をご覧ください(Youtube)。

このようなゲリラ豪雨に巻き込まれてしまうと視界が非常に悪くなり、十数メートル先もたちまち見えなくなってしまいます。またアンダーパスでは水が溜まって通行できなくなり、最悪の場合は車が水没してしまって死に至る危険性もあります。平成27年交通安全白書のデータによると、月別の交通事故件数では12月が5.44万件と1年間の中で最も事故件数が多くなっています。これは帰省中のドライバーによる事故が多いためで、3月や10~11月の行楽シーズンも車に乗る機会が増えるため事故件数も多くなっていると推測されています。

月別自動車事故のデータ

一方で6~7月の梅雨時期の事故件数も多くなっており、これは雨による影響が原因だと考えられています。上の動画でもわかるように少しの雨でもフロントガラスに水滴が付くと視界が悪くなりますし、路面が濡れるとブレーキの利きも悪くなるので衝突事故の危険性も高まります。

  • 原因1:視界が悪くなる
  • 原因2:路面が濡れることによるブレーキ機能の低下
  • 原因3:歩行者の視界不良、自転車の転倒など

また歩行者も傘をさすため前方や周囲への視界が遮られてしまい、近くを走っている車やバイクに気づきにくい点も事故につながりやすくなっています。最近ではスポーツタイプのスピードが出る自転車が人気で車道を走っている風景をよく目にしますが、このような自転車はタイヤ幅も狭いためブレーキが効きにくく雨天時の事故が多いとも言われています。雨天時に車を運転する際には昼間であってもライトを点灯したり、周りの歩行者や自転車に注意して走行することが大切です。

コーティングの有無による違い
※雨の量も少し異なりますがコーティングを行うことで視界がかなり変わります

また事前にドライブルートを確認してアンダーパスを避ける道順を計画したり、タイヤの擦り具合やバンパーの劣化などもチェックしておくようにしましょう。個人的におすすめなのが「フロントガラスの撥水効果を高めるコーティング」で、これを行っておくことで雨粒の弾き方が大きく変わります。もし大雨に巻き込まれてしまっても比較的視界は確保することができ、落ち着いて運転しやすくなるのでおすすめです。他にも車内の湿度上昇による「曇り防止」もしっかりと行っておきましょう。

自動車保険による雨天時の補償

もしアンダーパスで車が水没して壊れてしまったり、土砂災害によって車が押し流されてしまったような場合でも、車両保険の「一般型」もしくは「エコノミー型」に加入していれば契約車両の修理費用が補償されます。また車両新価(新車買替)特約に加入していれば、登録後半年以内の契約車両の修理費用が購入費用の50%を超えると新車購入時にかかった費用の全額が補償されます。

ただし保険金を請求すると翌年は等級が1つ下がり、また1年間は事故有等級が適用されるので保険料が大幅にアップしてしまいます。保険料を抑えるためにはできるだけ事故を起こさないように運転前の点検をしっかり行い、いつも以上に安全運転を心がけることが大切です。また万が一事故に巻き込まれてしまった場合でも事故現場まで警備スタッフがかけつけてくれるロードサービスを提供している「おとなの自動車保険」や「イーデザイン損保」といった損害保険会社を選んでおくと安心です。

参考リンク
・内閣府:「平成26年中の道路交通事故の状況
・フォルクスワーゲン郡山:「コーティング撥水効果の実験!
・ソニー損保:自動車保険の自然災害ガイド「大雨、ゲリラ豪雨による損害

自動運転システムと保険適用について

自動運転システムとは車に搭載されたカメラやレーダー、GPSなどを使って車の走行を自動的に行うシステムです。AI(人工知能)による安全確認で車間距離や走行スピードを制御したり、目的地までのボタン1つで運転を行ってくれるので実用化が期待されているシステムです。自動運転車の市場規模は770兆円とも言われており、各自動車メーカーは自動運転システムの開発と走行実験に力を入れています。また自動運転システムがうまく機能すると事故率を下げる効果も期待されており、自動車保険へ与える影響も非常に大きくなっています。

自動運転システム(AI)

自動運転システムによって走行している車が事故を起こした場合は誰が責任を取るのでしょうか?これまでは車を製造したメーカーの製造者責任も議論されてきましたが、2018年3月に発表された「自動運転に係る制度整備大綱案」では原則的に車の所有者が責任を取ることとなりました。これは所有している車を貸して事故を起こした場合に「運行供用者」が損害賠償の責任を負うことと同じ考え方に基づいています(対人補償は自賠責保険でカバーされます)。ただし今後の自動運転システムの高度化に伴ってより高度なシステムの下での事故については検討課題とされています。

自動運転システムは以下のように1~5のレベルに分けられており、現在では「レベル3:条件付き運転自動化」まで実用化されています。具体的には「同一車線走行(プロパイロット)」「衝突防止自動ブレーキ」「自動駐車システム」などが実用化されています。

自動運転レベル 主体者 概要
レベル1:運転支援 運転者 「前後」または「左右」どちらかの自動制御を行う
レベル2:部分運転自動化 運転者 「前後」および「左右」両方の自動制御を行う
レベル3:条件付き運転自動化 自動システム
(緊急時は運転者)
限定された範囲で自動運転システムが運転を行う(運転者による監視あり)
レベル4:高度運転自動化 自動システム 限定された範囲で自動運転システムが運転を行う(運転者による監視なし)
レベル5:完全運転自動化 自動システム すべての範囲で自動運転システムが運転を行う

2018年には「自動車線変更システム」が搭載された車両が国内でも販売されることとなっており、自動運転システムの普及に伴って自動車保険の補償内容も変化してきています。「三井住友海上」と「あいおいニッセイ同和損保」は、2018年1月から自動運転システムへのサイバー攻撃が原因となる事故を補償する特約を無料で付加しています。今後も自動運転システムの高度化に伴ってニーズに対応した新しい任意保険が販売されることが予想されています。

自動運転車の普及に伴う今後の社会変化

自動運転の実用化が進むと運転に伴う疲労が軽減されたり、運転中に仕事をしたり本を読むことができたりさまざまメリットが生まれます。特に注目されているのは安全性が高まる可能性で、人間が運転するとヒューマンエラーによって一定の操作ミスが起こると考えられていますが、自動運転システムによる事故防止機能が発達すれば人間が運転するよりも事故率が下がる可能性もあります。

そのため、今度は自動運転車の安全性が認められると該当車種の保険料が引き下げられることも予想されています。ただし現段階では判例などもなく、自動運転システムを開発した自動車メーカーと所有者、運転者の責任の境目が曖昧で過失割合も定まっていません。このような状況の中では自動運転の事故に特化した「弁護士費用特約」の販売も期待されています。

余談ですが管理人は趣味で将棋をしており、将棋界ではここ数年で将棋AIソフトがトップレベルのプロ棋士を負かすほどにまでレベルが上がってきています。AIは計算速度が速く人間には考えつかないような上手い手を指す一方で、ある一定の条件下では思考が停止したり一方的な負けを目指す指し方を行うこともあります。

完全な自動運転システムは現在実験段階ですが、もしかするとある状況下では最短距離を目指してしまい壁に激突したり橋のない川を渡ろうとすることも起こり得るかもしれません。そのためしばらくはドライバーがAIを上手く制御するスキルが必要とされますし、運転免許が無いと車を運転することができない状態が続くと考えられます。

また自動運転システムが普及すると反対に飲酒運転が増えてしまうのではという懸念も残っており、アルコール検知や運転者としてのモラル教育についても課題が残っています。自動車保険についても各社が新しい補償を生み出すことが予想されますので、保険対象の車に適した自動車保険を更新のたびに見直すことが大切です。

参考リンク
・国土交通省「自動運転における損害賠償責任に関する研究会
・首相官邸:自動運転に係る制度整備大綱案

18~20歳の方が自動車保険に加入する場合

運転免許を取得したての18歳、19歳、20歳の方が自動車保険に加入する場合はいくつかの点に注意する必要があります。まずは任意保険の保険料がとても高くなってしまうという点で、30~40代の方に比べると数十万円も保険料が高くなることもあります。というのも、運転に慣れていない20歳未満の事故率は他の年齢層に比べて非常に高くなっています。

平成28年 年齢別事故件数

平成28年の人口10万人あたりの事故件数は上のグラフのようになっており、25~65歳までの方が5件以下となっているのに対して、20歳未満の方は29.3件と6倍程度の事故率となっています。つまり他の年齢層に比べて事故を起こす可能性が高いと想定されており、自動車保険の保険料もこの事故率に応じて高くなっています。では実際の保険料はどの程度異なるのでしょうか?

項目 18歳 40歳
等級 6等級 6等級
年齢条件 なし 30歳以上
対人賠償 無制限 無制限
対物賠償 無制限 無制限
車両保険なし 126,300円 36,600円
車両保険あり 319,200円 84,400円

車両保険金額が200万円の車で見積もりを取ると以上のような保険料となり、18歳と40歳では大きな開きがあります。特に車両保険(一般型)をつけると保険料の差はさらに大きくなり、年間でおよそ32万円もの保険料を支払う必要があります。車をローンで購入したりすると毎月の支払負担も大きくなるので、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。

また保険会社によっては「未成年との契約」を行っていないところもあるので注意が必要です。ソニー生命、セゾン自動車火災、チューリッヒなどでは18歳、19歳が契約者となることができないので、親御さんが契約者となって未成年の子供を記名被保険者(主に運転する人)とする必要があります。

    20歳未満の方におすすめの自動車保険設定

  • 対人、対物補償 → 無制限
  • 人身傷害保険 → 無制限または1億円
  • 車両保険 → 一般型またはエコノミー
  • 特約 → 弁護士費用特約、自転車特約

未成年の人が自動車保険に加入すると保険料が高くなってしまいますが、保険料を節約するために補償内容を抑えるのはおすすめできません。事故率が高いからこそ任意保険で必要な補償はしっかりとカバーしておくことが大切です。特に対人、対物補償は無制限に、人身傷害保険は無制限または1億円に設定しておきましょう。運転が慣れていない人は大きな事故を起こす可能性も高く、相手方への補償や自分自身がケガした場合に手厚い補償を受けられるようにしておくと安心です。

また車両保険をつけるのであれば、車同士の事故も補償される一般型かエコノミーを選択しましょう。契約する車両にもよりますが、エコノミータイプであれば年間保険料が5~10万円ほど節約できる可能性もあります。万が一に交通事故を起こして裁判や示談交渉をしなければいけなくなった場合に備えて、弁護士費用特約も付帯しておくのがおすすめです。普段から自転車に乗る場合であれば自転車特約(個人賠償責任特約)もセットで加入しておきましょう。

未成年の方が保険料を抑える4つのポイント

  • 実家の車に乗るなら親の保険を全年齢対象、限定範囲なしに
  • 2台目の車に乗るなら親から等級を引き継ぐ
  • 車両保険をつけるなら免責金額を高めに設定
  • できるだけ安全運転を心がける

未成年の人が同居している親や親族が所有している車を運転するのであれば新たに自動車保険に加入する必要はありません。親や親族が加入している自動車保険の年齢条件を全年齢対象、補償範囲を限定なしに選択すれば未成年の人でも補償されますし保険料を大幅に抑えられます。

新しい車を購入して運転するのであれば、親や親族から等級を引き継ぐことで保険料を節約することができます。ただし同居していることが家族間の等級引継ぎ条件となっており、親元から離れて一人暮らしをしている学生は等級を引き継げないので注意が必要です。

新車や車両料率クラスが高い車に車両保険を付ける場合は、免責金額を初回10万円、2回目以降10万円など限度いっぱいまで設定しましょう。18歳、19歳、20歳の方が車両保険を付けると数十万円も保険料が上がることもあるので、運転する車を見直すことも大切です。

また万が一事故を起こして保険金を請求すると、次回の更新から3年間は事故有等級が適用されて保険料がアップします。それだけではなく、あまりにも事故が多い方は自動車保険への加入を断られることもあります。事故率が高い未成年の方はできるだけ安全運転を心がけることも大切なポイントです。

参考リンク
・警察庁「平成28年における交通死亡事故について
・アクサダイレクト「契約者と記名被保険者と所有者の違い