自動車保険の基礎知識

任意保険の特約について

任意保険は対人補償、対物補償や車両保険といったどの保険会社でも共通している主な補償である「主契約」と、オプションで補償範囲を拡げたり補償を手厚くすることができる「特約」の2つに大きく分けられます。例えばファミリーバイク特約をセットすれば、家族(保険会社の規定による)がバイクの運転中に起こした事故も補償されるので安心です。

バイクの事故

保険会社によっては人身傷害保険や無保険車傷害保険を特約として取り扱っているところもありますが、この記事では主な補償内容として取り扱っています。また保険会社によってそれぞれの特約の名称が異なることもありますが、自動車保険の特約には主に以下のような種類があり4つの種類に分類することができます。

  • 補償を手厚くする特約
  • ・対物全損時修理差額費用(対物超過)特約
  • ・車内身の回り品(車両積載動産)担保特約
  • ・車両新価特約
  • 補償範囲を拡げる特約
  • ・他車運転特約
  • ・ファミリーバイク特約
  • ・個人賠償責任(自転車)特約
  • ・ファミリー障害(おりても)特約
  • 事故時に備える特約
  • ・代車(レンタカー)費用特約
  • ・弁護士費用特約
  • その他の特約
  • ・ゴルフ特約
  • ・地震噴火津波特約

1つ目は補償を手厚くする特約で、車両価格よりオーバーしてしまった修理費用分を補償する「対物超過特約」や車内に積んでいたゴルフバックや荷物が事故で壊れてしまった場合にその修理費用やあらかじめ定められた金額が支払われる「車内身の回り品担保特約」などがあります。乗っている車に愛着がある方や貴重品を車でよく運ばれる方などはこのような特約で補償を手厚くしておくと安心です。2つ目の補償範囲を拡げる特約については後述します。

3つ目の事故時に備える特約とは、乗っている車を修理に出している期間に使用した代車やレンタカーの費用を補てんしてくれたり、また過失割合や事故調査、示談交渉といった弁護士に依頼する費用を補償してくれるものです。「代車費用特約」「弁護士費用特約」などはロードサービス(アシスタント)に無料で含まれている保険会社もあり、保険料や補償内容を総合的に比較検討する必要があります。ただし、万が一の場合に交通事故に強い弁護士が助けてくれるのは大きな力となるので、ロードサービスに弁護士費用特約が含まれていない場合はオプションとして付帯されておくことをおすすめします。

他にもゴルフのホールインワン達成時に保険金が受け取れる「ゴルフ保険」や通常では車両費用が補償されない自然災害による事故でも補償される「地震・噴火・津波特約」などあります。特約は無料で付帯させられるものや数百円から付帯させることができるものもあるので、万が一の場合に備えたいという方は保険料と見比べて付帯を検討してみましょう。

特約から自動車保険を選ぶポイント

自動車保険に付帯できる特約の中で注目されているのが「個人賠償責任特約」です。この特約は日常生活において他人をケガさせたり他人の物を壊した場合に補償されるもので、「自転車保険」としても活用できるのがポイントです。近年、自転車事故によって高額な賠償金を請求される事件が話題になっており1億円近くの賠償額となった判例もあります。

そのため自治体も条例で自転車保険への加入を義務付けるなど対策を行っていますが、まだ未加入のまま自転車を利用されている方も数多くいるのが現状です。そこで車を所有していて任意保険に加入されている方は個人賠償責任特約を付帯させておき、ご自身や家族、お子さんが自転車を運転される場合の万が一の事故に備えて手厚い補償を受けられるようにしておくことが大切です。自転車保険は運転者のケガに対しても補償されるので、医療保険に加入されていない方は加入を検討してみましょう。

参考リンク
・日本損害保険協会「自転車事故と保険
・産経WEST「母親驚愕 息子の自転車事故の賠償金9500万円の明細は…

保険料の割引制度について

自動車保険(任意保険)にはさまざまな割引制度が設けらており、運転者の特性や車の種類などによって保険料が割引ことになっています。例えば運転者を本人に限定するとおよそ7%の保険料が割引になるところもあります。損保会社によって割引制度の種類や割引率(額)などが異なるので、一括見積もり時などにどの割引が適用されるのか確認しておきましょう。

運転する人によって割引率が変わる

自動車保険の割引には大きく分けて4つの種類があります。まず1つ目は先述したように運転する人の範囲を絞るタイプのもので、「本人限定」「配偶者限定」としたり「35歳以上限定」などとすることによって保険料が割引されます。2つ目のタイプとして運転者の安全運転スキルや走行距離によって割引されるものです。例えばゴールド免許であれば5%ほど保険料が割引になるところもありますし、車の年間走行距離に応じて保険料が決まる保険会社もあります。

  • 運転者の範囲
  • ・運転者限定 → 5~7%ほど
  • ・年齢限定割引 → 35~60%ほど
  • 安全運転、走行距離
  • ・無事故割引 → 1年間無事故で2%
  • ・ゴールド免許割引 → 4~10%
  • ・安全運転割引 → スマホアプリのスコアによって3~20%
  • ・走行距離割引 → 保険料は走った分だけ
  • 車の種類、装備
  • ・新車割引 → 25ヶ月以内、5~9%
  • ・ASV割引 → AEB(衝突被害軽減ブレーキ)9%
  • ・盗難防止割引(イモビライザー、GPS追跡) → 5%
  • ・エコカー割引 → 3%
  • ・福祉車両割引 → 3%
  • 契約方法
  • ・インターネット割引 → 5000~10000円
  • ・継続割引 → 2年目以降、1000円など
  • ・早期割引(早割り) → 45日前まで500円など
  • ・セカンドカー割引 → 2台目以降の契約
  • ・ノンフリート多数割引 → 1枚の証券で複数の車を契約する場合 3~6%
  • ・証券不発行(e証券)→ 500円

3つ目の割引タイプは車の種類によるもので、登録25ヶ月以内の新車であれば5%ほど割引されたり、盗難防止機能があるイモビライザーを取り付けていれば5%割引される保険会社もあります。また最近ではAEB(衝突被害軽減ブレーキ)がついている車両であれば9%ほどの保険料が割引されるところもあるので、装備を備えている車両での契約更新を控えている方は「セーフティ・サポートカー割引」などで適用されるか見積もり時に確認しておきましょう。

最後に契約方法によるタイプをご紹介します。更新まで45日以内の契約で適用される「早期割引」や2年目以降も同じ保険会社で契約を継続すると「継続割引」が適用されて保険料が安くなります。中でもネット経由で新規で契約された方には5000~10000円ほど割引される「インターネット割引」が魅力的で、毎年別の損保会社に乗り換える方も数多くいらっしゃいます。また複数台の契約でも保険料が割引になるので、保険会社をまとめたいという方にもおすすめです。

割引制度から保険会社を選ぶポイント

各社の割引制度について調べるのは大変なので、まずは数十社の見積もり依頼を一括できるサービスをご利用されることをおすすめします。申込み後に多くの保険会社から保険料の見積書が届きますので、どの割引制度が適用されてどれくらい割引されているかを確認することができるので便利です。

また最近では各社が独自の割引制度を設ける工夫を行っており、テレビCMでも放送されているイーデザイン損保の「無事故割」、ソニー損保の走行距離「くりこし割引」、スマホアプリから安全運転スコアを測定し数値によって保険料が割引される損保ジャパン日本興亜の「安全運転割引」などがあります。今後はドライブレコーダーを装備した車両に対する「ドラレコ割引」も検討されているようなので、運転者は安全運転を心がけたり事故を起こさない運転をサポートしてくれる装備を備えることによってより保険料を抑えらえると考えられています。

煽り運転やスマホのながら運転による死亡事故などが社会問題にもなっており、2018年1月に罰則が強化されました。危険な運転を行う人に対して免許停止の処分であったり、悪質であれば危険運転致死罪などが適用されることにもなりました。次回の契約から保険料をより抑えるためにも、日ごろから安全運転を心がけることが大切です。

参考リンク
・損保ジャパン日本興亜「安全運転割引について
・産経新聞「ながら運転「罰則強化のみで運転手の行動変えるのは難しい」 子供に教育、大人も声かけを

ロードサービスについて

ロードサービスとは運転中のさまざまなトラブルをサポートしてくれるサービスで、自動車保険に加入していれば保険会社のロードサービスを無料で利用することができます。例えばドライブ旅行中に鍵を車内に入れたままロックしてしまい開錠が必要になった場合や、ガス欠で車が動かなくなってしまった場合でも近くのサービス拠点から専門スタッフがかけつけてくれて給油してくれます。

車が故障した際に便利なロードサービス

ほとんどの自動車保険のロードサービスでは定められた範囲や一定の距離、費用、回数以内であればすべて無料で利用することができます。また受付時間も24時間365日間としているところがほとんどなので、夜中の運転中のトラブルや休日のドライブでも対応してくれます。保険会社にもよりますがロードサービスでは以下のようなトラブルに対応してくれます。

  • ・バッテリー上がり
  • ・ガス欠(燃料切れ)
  • ・オイル、冷却水の補充
  • ・キーの閉じ込み
  • ・タイヤパンク(スペアタイヤの交換)
  • ・落輪引き上げ、雪道でのスタック(安全な場所へのけん引)
  • ・レッカー移動
  • ・帰宅費用、宿泊費用の補償
  • ・情報提供(帰宅ルート、ガソリンスタンド案内など)
  • ・法律、健康相談サービス(電話によるアドバイス)

ロードサービスは自動車保険に付帯されているものだけではなく、JAFのようにロードサービスのみを有料で提供しているところやガソリンスタンドや有料駐車場を運営している企業が提供しているものもあります。この2つの大きな違いは自動車保険に付帯されているロードサービスが適用されているのは自動車保険の契約車のみで無料で利用することができますが、後者のような企業が提供しているロードサービスは会員が運転していれがどのような車であれば利用でき料金は有料(月会費、またはサービスあたりの料金)という点です。そのため、普段からさまざまな車を運転される方は個人向けのロードサービスに加入されることをおすすめします。

自動車保険に付帯されているロードサービスの良いところは、利用しても等級ダウンにならないという点です。車両保険を使って修理すれば3等級ダウンとなり保険料アップにつながりますが、軽微な修理であれば無料のロードサービスで済ませることができる上に翌年度からの等級にも影響しません。

ロードサービスから保険会社を選ぶポイント

2018年2月は福井県などの北陸地方を中心に記録的な大雪が積もり、国道8号線に1500台以上の車が立ち往生するなど大きな混乱を招きました。また除雪を待っていた男性が車内で一酸化炭素中毒で亡くなるなどの被害も出ました。複数の現場で立ち往生が起こってしまうような自然災害が起こると、同じ時間帯や地域でたくさんの車がロードサービスを必要とするためスタッフの到着まで時間を要することがあります。このような場合はコールセンターから適切な対応をアドバイスしてもらえるように、事故対応満足度が高い保険会社を選ぶのも1つです。

また宿泊費用や自宅までの交通費(帰宅費用)を負担してくれるロードサービスも数多くありますが、最大で1泊1万円までとしているところや最大で2泊2万円(1泊あたり)までとしているところなど補償内容にも差があります。無料のレッカーサービスも指定工場までの距離制限の有無であったり、提携している全国のサービス拠点の数にも違いがあります。万が一の際に大いに助けになってくれるロードサービスなので、保険料が1,000~2,000円程度高くなってもより良いサービス内容の自動車保険を選ばれることをおすすめします。また年間4,000円の費用がかかりますがJAFの個人会員に入会しておくと様々な優待を受けることもできるのでお得です。

参考リンク
・JAF「JAFロードサービス
・産経WEST「【福井大雪】死亡男性の110番通報を県に伝えず

車両保険の必要性と選び方

事故で運転していた車が壊れてしまった場合、自動車保険の「車両保険」を使えば修理費用を補償してくれます。ただし車両保険は自動車保険の中でも保険料を大きく左右する要素なので、付帯させるかどうかを検討することが大切です。高級車や新車を修理する場合の費用は高くなるので、車両保険を付けておくのがおすすめです。反対に中古車や年式の古い車は購入価格よりも修理費用が高くなることもあり、このようなケースでは車両保険を外しても大きな問題ありません。

また車両保険には大きく分けてどのような事故であっても補償対象となる「一般型」、車同士の事故のみが補償される「車対車」、自転車との接触事故や自損事故は補償の対象外となる「限定A」の3種類があり、一般型にすると保険料が数万円も上がってしまうケースがあるので注意が必要です。運転に慣れていて自損事故を起こす可能性が少ないと考えておられる方はエコノミータイプがおすすめですが、家族の中に運転に慣れていない運転者がいれば一般型の付帯も検討してみましょう。

車両保険の種類 一般型 車対車 限定A
車同士 ×
自転車との接書事故 × ×
自損事故 × ×
落書き、いたずら ×
盗難 ×
台風、竜巻、洪水 × ×
地震、津波、噴火 × × ×

限定Aタイプは落書きや盗難といった加害者が特定されないような場合も補償されるもので、運転には慣れているけれど高級車に乗っていたり新車を契約車両にされる方におすすめのタイプです。またエコノミーと限定Aを併せたタイプがある保険会社もあり、運転者の状況に合わせて適したタイプを選ぶことが大切です。

車両保険を付けるメリットとして修理費用が補償されるという点の他に、事故を起こした相手方と過失割合でもめてしまった場合にも役立ちます。保険会社では運転手の注意義務や運転状況に応じて過失割合が細かく定められていますが、相手がいる事故の場合では言い分が異なったりで過失割合についてなかなか決まらないことがあります。しかし車両保険を使えば過失割合に関係なく修理費用を保険会社から給付してもらうことができ、通勤や通学で車を使っている方は素早く修理を済ませることができるので便利です。

車両保険で補償されるもの

ただし車両保険を使う場合は等級ダウンについて注意しなければいけません。車両保険を使うと事故の種類によっては3等級ダウンしてしまい、翌年から保険料がアップしてしまいます。自損事故の場合も同様ですが、車両保険を使う前にまずは修理工場に見積もり依頼をしてみて修理費用を自己負担で支払った方が得なのかどうかを見極める必要です。先に保険会社から修理費用を補てんしてもらう「車両先行払い」をしてしまうと、等級がダウンしてしまうので利用するかどうかをよく検討しておくことが大切です。

また免責金額を設定すると保険料を節約することもできます。例えば5万円の免責金額を設定しておくと、20万円の修理費用がかかるケースでは保険会社から15万円の支払い、自分自身が5万円を負担することになります。免責金額の設定金額によって保険料を抑えることができるので、車両価格や運転者の運転技術なども踏まえて検討してみましょう。保険会社によっても車両保険の金額は大きく変わるので、一括見積もりサービスなどを利用して保険料を比較検討されることをおすすめします。

車両保険の必要性を決めるポイント

高級車や新車をはじめ契約車両の市場価値が高い人にとって車両保険は加入する価値がある保険です。ただし貯蓄やローンの状況、車の有無が日常生活与える影響によって車両保険の必要性も変わってくるので次の例で具体的に見ていきましょう。例えば市場価値で50万円の価値がある車を車両保険の対象としている場合です。貯蓄がなく車のローンがまだ半分以上残っているような状況では、もし事故や盗難で車が使えなくなると日常生活に大きな影響を与えます。車が使えなくなる状態によって経済的に大きな損失(会社に通えない、スーパーに行けないなど)が生み出されるのであれば、車両保険に加入するメリットは大きくなります。

反対に新しく車を購入できる貯蓄があったり家族が別の車を所有していて日常生活に支障があまり出ないのであれば、車が使えなくなっても経済的に大きな損失が生まれることはありません。もし車が使えなくなっても割り切って50万円を支払うか、年間数万円になる保険料を節約するかは加入者の価値観によるところが大きくなります。言い換えると車両保険の保険料を1年間支払うことによって1年間の生活スタイルが保障されるのであれば車両保険に加入する必要性が高く、反対に車が無くなっても大きな影響がなければ車両保険に加入する必要性が低いとも言えます。契約車両の市場価値も加入を判断するポイントですが、日常生活への影響の大きさも加入を決める大切なポイントです。

参考リンク
・All About「自動車保険に車両保険は必要かを考える

自損事故、無保険車傷害保険

自損事故とは運転中にガードレールや電柱にぶつけてしまったというような事故で、相手方がいない事故であるのが特徴です。また車同士の事故であってもこちらの過失が10割で相手方に過失が無い場合も自損事故としてみなされます。もし自損事故で相手方が死亡したりケガを負った場合は「自賠責保険」や任意保険の「対人賠償保険」から補償されることになり、また自損事故でガードレールや電柱、お店の看板などを壊してしまった場合は「対物賠償保険」から補償されることになります。

運転者自身が自損事故で死亡したりケガを負った場合、任意保険の「搭乗者傷害保険」や「人身傷害保険」を付帯させておけば過失割合に関係なく補償されます。ところがこのどちらの保険も付帯させていな場合に自損事故を起こしてしまうと、運転者自身が死亡したりケガしたケースでは何の補償も受けられないことになります。そこで任意保険の「対人賠償保険」に自動付帯されているのが「自損事故保険」で、搭乗者傷害保険や人身傷害保険を付帯されていると自動付帯から外れる保険会社もあります。

自損事故保険が適用されるとあらかじめ定められた保険金額が支払われることになり、例えば死亡保障1,500万円、入院1日6,000円などとなっています。ただし補償金額は最低限のものとなっているため、例えば同乗者を自損事故で死亡させてしまい、多額の賠償金を請求された場合は自損事故保険では対応できません。このようなケースに備えるためにも「人身傷害保険」を付帯させておく方が安心です。

一方で自損事故で契約車が壊れてしまった場合、「車両保険」の一般タイプ(オールマイティタイプ)を付帯させていれば保険金を受け取ることができます。ただし事故有の適用とされるため等級が3等級ダウンし翌年から保険料が大きくアップしてしまいます。そのため、まず修理工場に依頼してあらかじめ見積もりを取ってもらい、修理費用と保険料アップを比較して車両保険を使うかどうかを検討することが大切です。自損事故を起こした場合は警察へ届け出て事故証明書を取らないと保険金が下りないこともあるので注意が必要です。

自損事故保険そのものは先述した通り最低限の補償内容ですが、搭乗者傷害保険と重複して補償が受けられる保険会社もあります。ご家族や友人を同乗させてよくドライブされる方などは補償内容について更新ごとに確認されることをおすすめします。

また事故の相手方が自賠責保険や自動車保険(任意保険)に加入していなかった場合に、相手方が事故の賠償金を支払えないケースで役に立つのが「無保険車傷害保険(特約)」です。死亡、後遺障害のみが補償対象となっており、人身傷害保険を付けなかった場合に自動で付帯される保険です。当てにげや引きにげのような加害者が特定できない場合でも補償の対象となっているので、保険金を受け取って後遺障害を受けたあとの生活費や葬儀代などに充てることができます。ただし車両の修理は補償外となっているため、車両保険に加入していないと修理費用が下りないので注意が必要です。

搭乗者傷害、人身傷害補償

対人賠償、対物賠償は相手方に対する賠償を補償する保険ですが、運転手や搭乗者が死亡した場合やケガを負った場合に補償してくれるのが搭乗者傷害保険です。搭乗者傷害保険は契約している自動車に乗っている際に遭った事故のみが補償され、他の車に乗っていたり歩行中に事故に遭った場合は補償外となっているので注意が必要です。

補償対象は死亡や後遺障害、医療保障があり、契約時に設定した保険金が支払われることになります。例えば死亡保険金1,000万円、医療給付金1万円が設定されている場合、事故で運転手や同乗者が亡くなった場合に1,000万円が、入院した場合に1日1万円が支払われることになります。

任意保険には似たような補償として人身傷害補償保険があり、契約車以外の車に搭乗していたり歩行中に事故に遭った場合でも補償対象となっているのが搭乗者傷害保険との大きな違いです。特約によってより広い範囲の事故のケースまで補償範囲を拡げられる保険会社もあります。また契約時に設定した保険金の範囲内であれば、事故の相手との過失割合に関係なく実際の損害費用を補償してくれるのも大きなポイントです。

例えばこちらの過失が3割、相手方の過失が7割の事故で、治療費に70万円、休業補償として80万円、慰謝料50万円の合計200万円の損害を被ったケースでは、搭乗者傷害保険のみに加入している場合は相手との示談交渉が終了した時点で保険会社から70万円の治療保険金、相手方から150万円の損害補償金をもらうことになります。一方、人身傷害補償保険に加入していれば相手との示談交渉を完了する前に保険会社から200万円の保険金を受け取ることができるので、入院・手術費や当面の生活費に充てることができるというメリットがあります。

またどちらの保険にも加入している場合、どちらの保険からも保険金を受け取ることができるのでもしもの場合に手厚い補償を受けられることになります。ただし人身傷害補償保険は相手の過失が10割であった場合、相手方が任意保険に加入していなかったり相手方が分からないひき逃げ、当て逃げといった場合のみ補償対象となります。対人、対物賠償と同様に飲酒運転で事故を起こした場合や地震や台風といった自然災害による損害は保険金の支払い対象外となっています。

対人賠償、対物賠償

自動車保険の主な補償として対人賠償と対物賠償があります。対人賠償とは車の運転によって他人をケガ、死亡させた場合に補償されるもので、「入院、手術などの実費」「精神的な損害に対する慰謝料」「将来必要となる介護費用」などが請求された場合に対応していいます。自賠責保険では対人補償が3,000万円までとなっているため、死亡事故を起こして1億円以上となるような高額な賠償額に対応するためにも任意保険で対人補償を上乗せして手厚くしておくと安心です。保険会社によっては死亡事故を起こした場合に臨時の一時金として数十万円程度の給付金が出る自動車保険もあります。

対人賠償の注意点は保険に加入している家族や承諾を得て運転をした人は補償の対象外となる点です。例えばコンビニに駐車しようと思って誤って自分の妻や子供を車ではねてしまい亡くなった場合、保険加入者の家族であるため保険金が下りるということはありません。また知人に車を貸して知人が他人の家の壁にぶつかり自損事故で亡くなった場合も保険金は下りません。

交通事故を起こす車

一方で対物補償とは車の運転によって他人の所有物を破壊した場合などに修理費用や損害部分を補償するものです。自賠責保険では対物補償はないので対人補償と同様に任意保険でカバーしておくようにしましょう。過去の判例では2億円以上の損害賠償を命じる自動車事故のケースもあったので、自動車保険に加入して補償をつけておくと安心です。

対物補償の注意点は家族の持ち物は補償の対象外となる点です。例えば、自宅の駐車スペースへ車を移動させている途中で誤って家族が所有する自転車を壊してしまった場合は補償の対象外となります。また地震や津波といった自然災害による事故も補償の対象外としている自動車保険がほとんどです。そのため車の運転中に地震が発生したら周りの通行状況を確認して無理な運転をしないことが大切です。

相手を死亡させたり寝たきりの状態にさせた場合、事故に遭わなければ得ていたはずの「逸失利益」が高額となるケースがあります。また店舗など商業施設を運転中の車で壊して営業できなくなった場合、営業によって得られていたはずの「間接被害」が高額となるケースがあります。そのため自動車保険の対人補償、対物補償はともに「無制限」に設定し、できれば弁護士による示談交渉サービスが付帯されている自動車保険を選ばれることをおすすめします。

対人賠償、対物賠償を選ぶポイント

最近ではペダルを踏み間違えたりシフトの確認不足でコンビニなどの店舗に車が突っ込んでしまう事故をニュースでよく目にするようになりました。もし店の中にいる人を死なせてしまった場合、1億円を超える賠償金を請求されるケースも少なくありません。もちろん被害者の人数が増えるとその分賠償額も大きくなります。そのためにも対人賠償補償に関しては無制限にしておく方が無難です。

またコンビニやパチンコ店といった一日の営業利益が大きいお店では1億円をこえる賠償額となることもあります。そのため基本的には対物賠償補償に関しても無制限に設定しておく方が良いでしょう。補償額を無制限から数千万円に下げると保険料を節約することができますが、わずかな保険料を節約して補償額を下げるのはあまりおすすめできません。

誤発進抑制装置がついた車も最近は見かけるようになりましたが、万が一の事故を避けるためにもコンビニに駐車する際は店舗の前の駐車スペースを利用しない、できるだけバックで駐車してドライブ(D)で発車する習慣をつけるなどの工夫をすることが大切です。

参考リンク
・ロータスタウン「ペダル踏みまちがえでコンビニを破壊。その莫大な賠償金、払えるのかな?
・Wikipedia「ブレーキとアクセルの踏み間違え事故

自動車保険の保険期間について

自動車保険(任意保険)の保険期間は1年ごとに更新を行う「単年契約」が基本となっており、更新日から1年間となっています。一方で2~5年ごとに更新を行う「複数年契約(長期契約)」と呼ばれる更新方法もあり、同じ保障内容と保険料が数年にわたって適用されるのが特徴です。

単年契約の大きなメリットは毎年自動車保険の見直しができるという点です。ここ10年はさまざまな損害保険会社が新しい割引制度を取り入れたりロードサービスを充実させたりなど競争が激しくなってきているので、1年ごとに訪れる更新の度に保険会社を見直した方がより良い自動車保険を選べるというメリットがあります。また保険期間中にゴールド免許に更新できる見込みがあったり、等級が上がっていくことによって保険料が毎年安くなっていくというメリットもあります。

反対に事故を起こしてしまって等級が下がったり、ゴールド免許からブルー免許になった場合は次回の更新時に保険料がアップする可能性があります。3年間の長期契約をしていた場合に1年目に事故を起こしたとしても、2年目、3年目も同じ保険料と割引が適用されるので単年契約よりも保険料を抑えることが可能です。特に単年契約では事故有等級が3年間適用されてしまうため、もし事故を起こしてしまった場合に向こう3年間は保険料が大きくアップしてしまうのがデメリットです。

一方で、長期契約を行った場合は割引が複数年にわたって適用されたり、契約時にゴールド免許であれば契約期間中は割引が適用されます。ちなみに契約時に複数年分を一括で支払うこともできますが、毎年保険料を支払う年間払いも可能です。個人事業主が営業用に車を使用していたり、事業用として会社で所有している車の自動車保険料は経費に認められているので、税金の支払いなどについては税理士さんと相談するなどして支払う年度をうまく調整されることをおすすめします。

長期契約の場合は途中で見直しがしにくいという点もありますが、ほとんどの損害保険会社では長期契約であれば途中で解約しても違約金が発生することはありません。ただし1年間単位での契約は継続するので、3年契約の2年目や3年目に入るタイミングで見直しを検討してみましょう。特にゴールド免許になったり年齢を重ねて40代になると保険料が大幅に下がる自動車保険もあるので、一括見積もりサービスなどを利用するなどしてより安い保険会社へのかけ直しを検討してみましょう。

任意保険の保険料を左右する要素

現在ではさまざまな自動車保険の一括見積もりサービスがあり、必要な項目を入力するでけで簡単に保険料を比較検討することができます。しかしながら任意保険の保険料は個人によって異なるので、加入する人の特性によって保険料が数万円も異なることもあります。それでは任意保険の保険料を左右する要素にはどのようなものがあるのでしょうか?

  • 1:個人的な特性 ・・・ 年齢、免許種類(ゴールド免許など)
  • 2:補償範囲 ・・・ 本人限定(または家族)
  • 3:補償内容、特約 ・・・ 車両保険や特約の有無
  • 4:車の特性 ・・・ 料率クラス、車種、走行距離、使用目的
  • 5:割引 ・・・ 等級、割引制度など

まず個人的な特性として年齢は保険料を大きく左右します。免許を取得したばかりの18歳や20代は運転に慣れていない人も多く事故を起こす確率が高いとされ保険料が高めに設定されています。特に親などから等級を引きつかず初めからグレードが低い等級からスタートすることになると年間の保険料が8万円近くになることもあるので気を付けましょう。反対に年齢を重ねて40~50代になると事故率が下がると言われており、「おとなの自動車保険」といった名称で販売されるように保険料が割安になります。またゴールド免許であれば保険料が数%割引になる保険会社もあるので積極的に選択するようにしましょう。

また運転する人を本人に限定することによって保険料が割り引かれます。補償範囲を家族にまで拡げることもできますが、例えば年齢が若い子供世代も運転するとなると保険料が大幅にアップすることになります。また自動車保険には弁護士費用特約や携行品損害補償特約などもありますが、個人賠償責任補償特約などは生命保険と保障範囲が重複していることもあるので加入前に無駄がないかチェックしましょう。無料で相談を受けられる保険相談サービスでは生命保険も含めてトータルで保険の見直しや点検ができるのでおすすめです。

その他にも高級車と軽自動車では同じ事故でも修理にかかる費用が異なるため、車種による料率クラスというものによって保険料が決められます。特に自分の車を修理する車両保険を付帯させる場合は高級な車ほど高くなるので注意が必要です。車両保険を使うと等級が下がるなど全体の保険料にも影響するので、修理費用と保険料アップを比較検討することが費用を抑えるポイントです。また年間の走行距離や通勤かレジャー、買い物といった使用目的によっても保険料が変わってきます。最近ではエコカー割引や安全装置割引なども充実してきているので、できるだけたくさんの割引が適用される保険会社を選ぶと保険料を安くすることができます。ただしロードサービスの満足度や保険金の限度額といった実際に事故にあった際に手厚い補償を受けられるかも大切なポイントですので、保険料だけで自動車保険を選ばないことをおすすめします。

自賠責保険の補償内容と注意点

車やバイクを運転する人に加入が義務付けられている自賠責保険ですが、補償対象となっているのは対人のみで交通事故で被害者を死亡させたり高度障害に至らせた場合に3,000万円~4,000万円の補償額が被害者に直接支払われることになるのが大きな特徴です。被害者が所有しているモノや自動車などを壊してしまった場合でも自賠責保険では補償されないので注意が必要です。過去の判例では物損で数億円以上の支払いが命じられたケースもあるので、自賠責保険だけは大きなリスクがある点も覚えておきましょう。

一般的には車を購入する際に販売店や中古車ディーラーなどで自賠責保険に加入することになりますが、JAや全労済といった共済でも自賠責保険に加入することができます。ただしどのような形であっても運転する車に常に携行することが義務付けられており、任意保険のロードサービスを受ける際にも確認を受けることがあるので運転する前に証書がダッシュケースの中にあるかどうか常に確認しておきましょう。また加入者に発行されるステッカーを自動車の場合はフロントガラスに、バイクの場合はナンバープレートに張り付ける必要があります。

また死亡、高度障害だけではなく、事故によるケガで入院や手術が必要になった場合も自賠責保険で補償されます。例えば骨折で手術が必要で1週間の入院と休業を余儀なくされた場合、手術費用、入院費用、休業損害に加えて慰謝料も支払われます。しかしながら注意しなければいけないのがケガの補償は合計で120万円までとされており、超える費用は加害者に対して直接請求する必要があります。加害者に十分な支払い能力や貯金が無い場合、泣き寝入りすることにもなりかねません。このような場合は政府に対して被害者保障の請求を行うことができます。ただし厳重な審査がなされるのですべての補償を受けられるという保証はなく、任意保険に加入しておけば相手が自賠責保険に加入していなくても補償を受けられる保険もあります。

加入が義務付けられている自賠責保険に加入していないと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑を受けたり、違反点数6点となって免許停止処分を下されることになります。また未加入のままで交通事故を起こしてしまった場合、民間の任意保険では自賠責保険の補償額を差し引いた金額しか補償されないので注意しておきましょう。さらには飲酒運転など運転手に故意または重過失が認められる事故の場合、自賠責保険だけではなく任意保険の補償外となってあらゆる保険金を請求できなくなるのでくれぐれも飲酒運転だけは止めるようにしましょう。